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2013年12月 8日

またも消えたか張成沢

【調査会NEWS1442】(25.12.6)

 張成沢失脚のニュースは色々な憶測を呼んでいます。今のところ情報源がほとんど韓国の国家情報院しかないので情報自体が操作されている可能性もありますが、出てこないので何かが起きていることは間違いないのでしょう。

 しかしこの人は前からそんなことをくり返しています。上がったり下がったり忙しい人です。「張成沢の周りに人が集まってくると、金正日は警戒して切っていったりするんです」というのは前にインタビューした脱北者の言葉。前回の失脚は金正日の指示で「深化組事件」を主導し、2万5千人とも言われる粛清を行ったことがかかわっているはずです。スケープゴートだったのかもしれません。

 そしてその後3年間消息の伝えられなかった張成沢が2006(平成18)年カムバックしてきたのは中国がバックにいたからでした。旧正月の慶祝公演に参席したのが報道されて分かったのですが、この公演は駐朝中国大使をはじめとして在留中国人が多数招待されたものでした。

 元工作員の安明進氏は何年も前に「張成沢や呉克烈は『何でも中国の言う通りにすれば良い』と思っている。それに対して金正日は『いや、米国とも関係を強化しなければ』と考えている」と言っていました。事実かどうかは別として、張成沢の動きが中朝関係と何らかの関係をしている可能性も否定できません。そういえば中国の保護監視下(?)にある金正男も張成沢とは親しかったように思います。

 その中国も天安門での事件や政争・腐敗などで何か国内も穏やかでない様子が見て取れます。防空識別圏問題も内政が絡んでいるでしょう。外も中も締めなければいけないということでしょうか。

 朝鮮半島の中での変化には周辺大国がブレーキをかけますが、周辺大国の変化に朝鮮半島がブレーキをかけることはできません。韓国の諺で「鯨の喧嘩で海老の背が折れる」というのがありますが、そんなときが近づいているのかもしれません。

 しかし、この20年間で学んだことからすれば、日本が傍観していてはいけないはずです。放置していれば乗り遅れ、他の国の都合で国際秩序を作られてしまいます。「どうせまもなくつぶれるから」と思って(私自身がそうでした)放置していれば拉致被害者も死んでしまいますし、核やミサイルの開発も進めてしまうでしょう。

 張成沢の浮き沈みに一喜一憂している暇はないはずです。それを私たちがどう利用できるかに問題はかかっています。自ら手を突っ込んで東アジア全体の国際秩序を作っていく意志がなければ拉致問題も解決できません。 

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