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2014年3月 6日

救わない

【調査会NEWS1488】(26.3.6)

昨日の参議院予算委員会での安倍総理の答弁が「北朝鮮内乱時の拉致被害者救出を米に要請」と報道されています。

 私は別に失望はしません。これまで半世紀以上の政府の見解であり、安倍政権で特に後退したわけではないからです。しかし、少なくとも現時点で、日本政府が自らの行動によって拉致被害者を救出しようと思っていないことだけは理解しておく必要があります。

 報道されたのはみんなの党井上義行議員の質問に対する答弁ですが、要は何か起きても自衛隊は自衛隊法上は派遣について派遣先国(北朝鮮)の合意が得られないから救出に送れない。国際法上は認められるが日本は憲法9条があるからどう考えても特殊部隊を送ったりすることはできないというものです。

 実はこの前日、すなわち4日の同じ参院予算委で、総理はもう一つ重要な答弁をしています。「北朝鮮が混乱状態になっても拉致被害者の安全をわが国は確保できないので、可能であれば韓国や米国に依頼をする」という内容。社民党福島瑞穂議員への質問で、文脈は米朝間が戦闘状態になったとき北朝鮮への武器弾薬を運ぶ船を日本が臨検等する問題で、福島議員の質問自体は正直「何を考えているのか?」というものですが、総理の答弁はかいつまんで言えば「日本は何もできないのだから、日本人を助けてくれる米国への協力くらいはしないわけにいかない」ということです。

 では、米国や韓国が、日本が後ろで見ているときに自国の青年の血を流してでも日本人を助けてくれるでしょうか。逆に考えてみれば分かりやすい。どこかの国が日本に助けを求めて来て、「わが国には軍事力はありますが憲法上使えません。日本が自衛隊を出してわが国民を救って下さい」と言われたとしたらどうでしょう。

 いわんやシリア情勢を見るまでもなく何もできないオバマ大統領と日本叩きに熱を上げる朴槿恵大統領です。何かしてくれるとすれば余程の見返り(日本が相手国の要求を全て呑むとか)なしには絶対にしないと思います。

 私たちはこのような現実の中にいるのだということ、そしてこの現実を変えない限り拉致被害者の救出もなく、そして今の日本の安全もあり得ないことを忘れてはならないと思います。

(3月6日参議院予算委員会・井上義行議員の質問に対する安倍総理答弁)

 「現在の法の枠組みの中において、もし北朝鮮において内乱的状況が発生した場合においては現行の在外邦人を保護するための枠組みとしては自衛隊法に基づく在外邦人等の輸送があるが、当該輸送を行う際には派遣先国の同意を得ることが前提となるため、御指摘の北朝鮮の内乱のような事態に対して拉致被害者を救出することは困難であると考えられる。

 他方、派遣先国の同意が得られない場合に部隊を派遣して自国民を救出することは国際法上一定の条件を満たす場合には認められる場合があると考えられる。しかしながらわが国の場合は憲法第9条の制約があるため御指摘のような事態、すなわちわが国に対する武力攻撃が発生しているわけではない北朝鮮の内乱のような場合には、一般的にはただちに自衛権発動の要件にあたるとは言えない。自衛隊の特殊部隊を救出のために派遣するといった対応を取るのは憲法上難しい。これは様々な検討を加えても憲法上は難しいという判断である。

 いずれにしても拉致被害者の安全確保ということは極めて重要であり不断の検討を加えている。同盟国たる米国の協力も極めて重要でありその意味において拉致被害者等々の情報も米国に提供しながら必要なときの協力は常に求めている。今後日米同盟を強化するための各種施策を講じると同時に国際社会とも連携してあらゆる事態にすべての拉致被害者の安全を確保すべく全力を尽くして参りたい。」


(3月4日参議院予算委員会・福島瑞穂議員の質問に対する安倍総理の答弁)

 「北朝鮮は既に日本の罪もない人々を多数拉致をしている。当然そして混乱状態では残念ながらその人たちの安全を私たちは確保できない。その際は例えば可能であれば韓国や米国に依頼をする。

 すでに私たちは拉致被害者の人々人権のために米国に情報を提供してるいがそういう中で当該国に武器弾薬が運ばれているときに、私たちはそれを阻止できなくて良いのか。『このときは阻止しませんよ。しかし、拉致被害者については米軍の兵士に命をかけて守って下さいね』とは果たして言えるかどうか。私たちは国民の生命財産を守らなければならない立場として真剣に議論を進めていく必要があると考えている」

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