再調査
【調査会NEWS1512】(26.3.30)
1年4か月ぶりの日朝政府間交渉が行われています。日本政府は拉致問題についての「再調査」を求めているとのこと。
いうまでもなく「再調査」とは北朝鮮に逃げ場を与え、譲歩を引き出そうというものです。北朝鮮の外務省が工作機関に手を突っ込んで調査をし、極めて重大な問題である拉致を進展させることができるはずはありません。こんなことは子供でも分かります。北朝鮮は何年も前から何人かを出すつもりではいるのであって、その人たちを返すために「再調査したら出てきた」という口実を作るだけのことです。
昨年から飯島勲内閣官房参与やアントニオ猪木参議院議員の口を通して拉致被害者の人数の話が出ています。要は北朝鮮側が「何人出せば終わりになるのか」と言っているのでしょう。あるいは「これだけ出せば終わりにするんだな」と言われているのかも知れません。
北朝鮮は日本に対して、(1)身代金(制裁解除も含めて何らかの利益供与)、(2)拉致問題の終息、を求めているはずです。日本政府としては(1)はどうにかなっても(2)の方はそう簡単には呑めません。そもそも何人拉致被害者がいるのか分かっておらず、北朝鮮でも色々な機関がやっておりもう誰も全て把握できていないはずです。
ともかく何も動かない状態よりは動くことによって流れを作ることが必要です。交渉の機会があるなら表も裏も含めて積極的に取り組んでいただきたいと思います。その過程で政府への批判につながる事態が起きる可能性がありますが、福田康夫政権のとき、結局虻蜂取らずになってしまった轍を再度踏むことがないようにしてもらいたいものです。
その上で、これは国民の側が絶対に忘れてはならないことがあります。
大部分の拉致には国内の固定工作員や協力者が深く関与しており、海岸から上がってきた工作員だけで拉致したケースはごく一部です。横田めぐみさんを警察犬の動かなくなった現場から車で連れ去ったのもそういう人間ですし、今帰国している拉致被害者5人の拉致にもそういう人間が多数関与しています。そしてそれについてはまだ何も明らかにされていません。国内では工作員・協力者も1人として罪に問われていないのです。
交渉は進められるべきで、その結果に期待はします。しかしそれは入口でしかありません。本当の意味の「再調査」は日本の中においてこそ行われなければならないはずです。
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