大町ルート
【調査会NEWS1516】(26.4.3)
「大町ルートというものは存在しない」
7、8年前ですが、警察庁外事課の担当者(仮にA氏としておきます)からこう言われたことがありました。
A氏は山本美保さんに関わるDNAデータ偽造事件について「(山本美保さんの)ご家族に聞いてみると良いと思いますよ」と、自殺であってあの遺体は山本美保なのになぜ騒いでいるのかとでもいうような言い方もしていましたから、本心でどう思っていたのかは別にして役回りで私たちの言っていることを否定することになっていたのでしょう。逆に言えばこちらの主張が当たっていたということかも知れません。
昨日藤田進さん(新潟)のお母さん、フミさんの葬儀の帰り、大糸線で南下して松本から「あずさ」で帰りました。文字通り大町ルートです。大糸線の列車に揺られながらあのときのA氏の言葉をふと思い出しました。
別に北朝鮮の工作員が「大町ルート」と呼んでいたわけではなく、アメリカが北朝鮮のミサイルを「ノドン」とか「テポドン」と名付けたのと同じようにこちらで便宜的に考えた名称ですが、名前はどうであれこのルート沿いには不審な失踪が非常に多く、また途中の山梨県・長野県などには北朝鮮の協力者と思われる人間が、土地の有力者として存在します。起きたことを見ていけばそれだけで十分に怪しいことは分かります。
その大町ルートが日本海に出たところが糸魚川市で、藤田進さんの失踪した旧青海町は当時西隣の町でした(現在は合併で糸魚川市になっています)。旧青海町から名所親不知を挟んで富山県の朝日町があり、藤田さん失踪の3年後の昭和43年2月に高校3年生の水島慎一さん、さらにその隣の入善町では水島さん失踪の前月に屋木しのぶさんが失踪しています。メールニュースの1486号で書いた中に工作員上陸について「時期は主として土・日・祭日又は新月等。上陸場所は県境が最適」とありますが、まさに親不知は県境です。
親不知は昭和30年代後半に書かれた水上勉の小説『砂の紋章』の舞台で、半世紀前近く前の小説なのに北朝鮮工作員の上陸の話が出てきます。当時水上勉は現地で取材して実際にあった話をもとにこの小説を書いたと言われています。確かに非常にリアルに感じられる内容です。もう絶版になっていると思いますが古書はときどき出ているようですから関心があればご一読下さい。
A氏の「大町ルートは存在しない」というのが、「存在するが認めない」なのか「存在したとは知らなかった」なのかは分かりませんが、明らかに事件が起きていたことは間違いありません。大事なのは現実を直視することではないかと思います。
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