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2014年9月21日

決断

【調査会NEWS1653】(26.9.21)

 今札幌にいます。金曜日の外務省からの説明を受けて頭を整理してみました。

 北朝鮮はこれまでおそらく10年近く、日本政府に対して「あと何人出せば終わりにするのか」と言ってきました。そして日本政府はそれに答えることができませんでした。

 田原総一郎氏が有本恵子さんのご両親に訴えられた裁判で提出した陳述書の中に次のような一節があります。

「私(田原氏)は、(北朝鮮から)帰国後の平成19年11月8日、外務省にて、外務省幹部4人と拉致問題について話し合いました。(中略)私が、ソン・イルホ大使が『8人以外に複数の日本人が生存している』と話したことを伝えたところ、外務省幹部は『同じ話を聞いているが、8人以外の複数の日本人が帰国しても、北朝鮮に対する世論が好転することはないと判断したため、その話はなかったことにした。』などと話しました」

 ニュアンスの違いはあるでしょうが、自分が訴えられた裁判の陳述書で提出した内容ですからわざわざありもしない話をでっち上げたとは思えません。

 今の状況も基本的にはこれと同じではないかと思います。度々報じられていますが、日本政府には何らかのリストが届いている。しかし政府はその内容では国民の支持が得られないので発表を躊躇しているということです。ひょっとしたら先送りというのは日本側から北朝鮮に求めたのかも知れません。

 7月3日、総理はぶら下がりの会見で北朝鮮の「特別調査委員会設置」について、「かつてない体制」と評価し、「行動対行動の原則に従って、日本がとってきた一部の措置を解除する」と発表しました。その制裁解除については当時の古屋拉致問題坦等大臣も伊原外務省アジア大洋州局長も「北朝鮮にほとんどメリットはない」と言っています。

 メリットのないことに北朝鮮が乗るはずもないのに、なぜ総理が自ら発表したのか。それは調査委員会と制裁解除というセットではなく、別のところに意味があるからです。おそらく北朝鮮に対し「私が決断する」ということを示したのでしょう。

 その「決断」が何かと考えると「こちらが納得できるところまで出せば事実上拉致問題を棚上げにする」ということではないか、というより北朝鮮の動きを見てもそれ以外のことは考えられないのです。

 そして納得できるところとはおそらく横田めぐみさんを含めた政府認定拉致被害者の大部分(つまり「死亡」を取り消させる)と、特定失踪者の何人かということでしょう。そしてその後、北朝鮮は「これで終わった」と理解し、日本側は「引き続き粘り強く交渉を行う」と、同床異夢の解釈ができるようにしていったん終わりにするということではないかと思います。

 しかし現在北朝鮮から出てきているのは世論がとても納得するとは思えないリストであり、だからこそ「決断」もできないということでしょう。

 もし、交渉だけで取り返そうとするなら、このやり方しかないことは事実です。少なくとも一度北朝鮮を納得させて何人かでも帰させる。それから世論が高まって次の段階へ、というのは12年前もそうでした。私は少しでも進められることは進めた方が良いと思うので、目先にぶら下げられた餌に飛びつくのでない限りは安倍総理がそういう決断をすることを一概に否定するものではありません。

 しかし、この交渉で全ての被害者が取り返せないことは明らかです。工作機関の重要な機密を知っている被害者も、あるいは背乗りの被害者も、おそらくは体制が変わらない限り取り返すことはできません。そしてそれができないのなら日本は北朝鮮のみならず外国からの脅威にこれからも晒され続けます。

 「八百屋に行って鰻を求める」ためには、八百屋にピストルを突き付けて鰻を持ってこさせるしかありません。私は総理に必要なのはその決断だと思います。「今帰せば利益が得られる」ではなく、「今のうちに帰さないと何をされるか分からない」という恐怖感こそ、あの独裁体制を動かすことができます。それには総理は政治生命も、場合によっては物理的生命も賭けていただかなければならないかも知れませんが、あえてそれをしていただきたいと思う次第です。

 金曜日の外務省の報告を聞いて、正直このやり方では(報告に出てこない裏の話も含め)期待はできないと思いました。「役人任せではだめで、政治決断が必要です」と山谷大臣にはお伝えしましたが、あらためて自分自身も覚悟をしなければと考えている次第です。

▲現在の「しおかぜ」放送時間と周波数は以下の通りです

夜 22:30〜23:30  5985kHz 深夜 1:00〜2:00 6090kHz

■調査会役員の参加する講演会(一般公開の拉致問題に関係するイベント)・メディア出演・寄稿・特定失踪者問題に関する報道(突発事案などで、変更される可能性もあります)等

★9月21日(日) 16:00 北海道放送(HBC)「今日ドキッ!報道スペシャル北の拉致〜待ちわびた家族の祈り」

★10月18日(土) 13:30「講演会」(拉致問題を考える牛久市民の会主催)
●牛久市生涯学習センター 多目的ホール(牛久駅前・エスカードビル 029-874-3131)
●常務理事杉野が参加
●問い合わせ:田中代表(090-3816-5657)

★11月9日(日)13:30「大阪ブルーリボンの会講演会」(同会主催)
●大阪市中央公会堂(京阪電鉄中之島線なにわ橋駅下車1分)
●代表荒木が参加
●問合せ:大阪ブルーリボンの会 06-6121-2306

★11月13日(木)19:30「北朝鮮による拉致被害者全員の救出を求めるつどい」(日本会議福山主催)
●エフピコRiM(福山駅徒歩5分)
●代表荒木他役員が参加
●問合せ:日本会議広島 福山支部 084-922-1332

★11月30日(日)13:30「宇部集会」(救う会山口主催)
●宇部市男女共同参画センター(宇部市琴芝町1-2-5 0836-33-4004)
●代表荒木が参加
●問合せ:救う会山口

※特定失踪者に関わる報道は地域限定であってもできるだけ多くの方に知らせたいと思います。報道関係の皆様で特集記事掲載や特集番組放送などについて、可能であればメール(代表荒木アドレス宛)にてお知らせ下さい。
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特定失踪者問題調査会ニュース
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発行責任 者荒木和博(送信を希望されない方、宛先の変更は
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●カンパのご協力をよろしくお願いします。
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銀行口座 みずほ銀行 飯田橋支店 普通預金 2520933 名義 特定失踪者問題調査会
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