以下6月10日に実施した特別検証の報告です。ご協力いただいた皆様にあらためて御礼申し上げます。なお、明後日16日に行うセミナーでは今回の検証についての報告も行います。奮ってご参加下さい。
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★6月16日(木) 18:30 第2回調査会セミナー「なぜ北朝鮮は拉致を行ったのか」(調査会主催)
於:UAゼンセン会館 (JR・地下鉄市ケ谷駅下車3分 千代田区九段南 4-8-16 03-3288-3549)
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<報告>
特定失踪者問題調査会では救う会秋田とともに6月10日(金)、秋田県海岸(男鹿市以北)において海上からを中心とした特別検証を行った。その概略は以下の通り。
1 検証の目的
秋田県内で生起した北朝鮮工作員らによる密出入国事案の現場海域を主に海上から検証し、あわせて秋田県関連の特定失踪者の事案等の関連性について検討する。
2 参加者(敬称略)
(1) 調査会:荒木・岡田・村尾・武藤
(2) 家族会:増元
(3) 調査会を支援する会:梅原
(4) 救う会秋田:松村・福岡・木村・舛谷・田沼・二田・阿部・伊藤・小野
(5) 予備役ブルーリボンの会:伊藤
(6) 救う会ふくしま:赤塚
3 日程:6月10日(金曜)
08:00 男鹿市船川港、釣りショップ海風前集合・ブリーフィングと海上組・陸上組の割り振り及び海上組の乗船区分決定。
08:30 出発
●海上組(3隻)船川港→脇本海岸(男鹿脇本事件)→船川水道河口周辺(後掲6項セ-不審な男目撃)→鵜ノ崎→船川港→車輌で能代へ
●陸上組 船川港→脇本海岸(男鹿脇本事件)→潮瀬崎(工作員上陸浸透に関する検証・予備役ブルーリボンの会伊藤幹事長による上陸のシミュレーション)→能代へ
13:00 能代港浅内漁協出港(2隻)
浅内漁港→浅内浜(第一次能代事件)→落合浜(松橋恵美子さん車輌発見)→八森(雄島・後掲6項エ「一宮事件」関連)→岩館(後掲6項コ-工作員密出国関連)→浅内漁港
17:00 帰港・ブリーフィング後解散
4 検証内容
(1)男鹿脇本事件及び同時期近隣地域での不審人物目撃情報
前者については陸上と海上から検証を行った。他地域に比べ脇本海岸は遠浅の海岸で砂浜の先は防風林になっていて人目に付きにくい。また男鹿半島が防波堤の役割をして波が静かであり密出入国に適地であると実感した。特に運動能力の高い工作員ではない一般人(拉致被害者も含め)の移送には容易に浸透できる場所が必要と思われ、その意味でも男鹿脇本事件以前にはかなり頻繁に使っていたものと想像された。
(2)鵜ノ崎及び潮瀬崎
男鹿半島は日本列島から突きだしており、領海外でも灯台の光が目視できるため、鵜ノ崎及び潮瀬崎灯台の光が並ぶようにして方向を定め浸透してきたのではないか(伊藤幹事長)との推測の下、陸上及び海上から検証した。海上は船の行動できる範囲が鵜ノ崎までだったので、鵜ノ崎灯台沖から潮瀬崎を遠望し、位置関係を確認した。陸上では潮瀬崎で工作員上陸のシミュレーションを行った。
(3)浅内浜(第1次能代事件)
浅内浜で海上から陸上を確認(距離100メートル程度)。陸上では救う会秋田伊藤・木村氏が目印となり、車輌から海に向けてパッシングを行ったが日中でも十分に目視できた。夜であればかなり遠くまで目視できると思われる。事件の場所は各種施設ができ昭和38年当時とは大きく変わっているが、海上から目印になるものがないことは再確認できた。遺体の工作員がどこに上陸しようとしていたのかはもう少し調べる必要があると感じられた。
(4)落合浜(松橋恵美子さん車輌発見場所)
陸上は何度も調査を行っている場所だが、海上からの検証で新たな情報はない。ただしこの場所は第2次能代事件の大関浜にも近く、相当長期間に亘って能代の海岸は密出入国に使われていたのではないかと推測される。そのような中で固定工作員にとっては土地勘があり、偽装工作のために車輌を持ってきやすかったという推測も可能と思われた。
(5)八森(工作員密入国)
海岸から100メートル程の距離にある無人島、雄島に着目。島の日本海側は陸地から見えにくく、上陸中継地としては好適と思われた。全くの偶然だが、越前海岸にある同名の島も地形的には上陸中継地として使われた可能性があり、島と陸地を結ぶ橋のたもとに車を置いて非公開の女性が失踪している。なおどちらも島に小さな神社がある。
(6)岩館(工作員密出国)
上陸中継地となりそうな場所が無数にある。海に突き出した岩場もあり、崖の下が海岸になっているところもあった。特に崖の下が海岸になっているところは海から見なければ確認が難しいと思われた。
5 まとめ
これまで何度も調査を行っている地域ではあるが、あらためて海上から見ることにより上陸浸透についての状況を把握できた。検証前の最大の疑問であった密出入国がなぜ県北部の海岸に集中しているのかについてはまだ結論が出ていないが、中継地として使い安かったものとは想像できる。能代以北の海岸線は県境まで約25キロ(JR五能線換算)だが、所轄警察は能代署であり、水際での浸透を防ぐのが極めて難しいことは海から見ると非常に実感できた。
今回行った上陸浸透のシミュレーションも含め、海上からの検証はさらに各地で行っていく必要があると思われる。今回ドローンは十分に機能を果たせなかったが、今後操縦に習熟することで上空からの状況把握も可能になり、より有益な情報が得られると期待される。
なお、男鹿での移動中に救う会秋田の木村氏が地元の人の車輌に接触されるという事故があった。こちら側には落ち度はなく、幸い怪我も軽かったものの、今後も検証においてアクシデントが起きることは想定しておく必要があると実感した。
6 参考
(1) 秋田県内での工作員関連事案概要
ア 昭和27年(1947)
秋田県の能代海岸に3人の朝鮮人が密入国し、中島で暖を取っているところを発見された。その後、能代市キリンガ原から朝鮮に向けて打電されている事実もあった。(昭和38年4月4日新聞記事)
イ 昭和38年(1963)4月1日 「第一次能代事件」
工作員2名の水死体が秋田県能代市の浅内浜に漂着した。同月3日 水中スクーターとみられる物体が発見される。4月4日付の「北羽新報」に「男鹿海岸で魚雷を発見ー浅内と関係か」と題して南秋田郡琴浜村野石の海岸に黒い魚雷様の物体が打ち上げられているのが発見されていた。物体は「長さ2m、直径30cm位で中に機械類が入っていた…」と記載があることから魚雷ではなく、水中スクーターと思われるが、能代事件自体がその後警視庁扱いとなったため追跡報道もなく情報は開示されないままになった。
4月1日に発見された能代海岸での水死体近くにはゴムボートがあり、この水中スクーターは後述第2次能代事件のもう1体の工作員が使用したと思われる。
ウ 同年5月10日 「第2次能代事件」
工作員1名の水死体が秋田県能代市大関浜に漂着
エ 同年5月21日 「一宮事件」関連
「一宮事件」(昭和39年7月29日 愛知県警検挙)の吉岡一夫こと朴秀奭が秋田県山本郡八森町の海岸から密入国。事後、東京を経由して愛知県内を転々としながら自衛隊関係の情報収集や密出国地点の調査などの活動を行う。
オ 昭和42年(1967)8月5日 徐兄弟スパイ事件
「学園浸透在日同胞留学生スパイ集団事件」(昭和50年11月22日韓国中央情報部)の徐勝が秋田県男鹿市大島の海岸から北朝鮮に向けて密出国。
カ 昭和43年(1968)8月5日 徐兄弟スパイ事件
同上徐勝が秋田県の男鹿半島から北朝鮮に向けて密出国。
キ 昭和44年(1969)7月17日
北朝鮮工作員Aが秋田県の海岸から北朝鮮に向けて密出国。北朝鮮で教育を受けた後、昭和45年(1970)5月13日新潟県村上市の鯨波海岸から再潜入する。
ク 昭和45年(1970)6月 「西新井事件」関連
秋田県男鹿半島の海岸から工作員「朴某(チェ・スンチョル)」が密入国。
ケ 昭和46年(1971)6月 「西新井事件」関連
上記チェ・スンチョルが同棲中のS子さん家族とともに自身が密入国した男鹿半島の偵察に訪れる。
コ 昭和46年(1971)8月中旬(初旬?)
尹孝同(呂興鎮)が秋田県山本郡の岩館海岸から北朝鮮に向けて工作員(35歳?)を密出国させる。
サ 昭和47年(1972)年4月 「切浜事件」関連
「切浜事件」(昭和49年9月19日兵庫県警検挙)の北朝鮮工作員Aは、北朝鮮から派遣された工作員Bとともに秋田県下の海岸から北朝鮮に向けて密出国。約2年間北朝鮮でスパイ訓練を受ける。
シ 昭和53年(1978)6月26日
工作員(李栄淑・仮名?)が秋田県海岸(場所不明)から密出国。(恵谷治著「対日謀略白書」)
ス 昭和56年(1981)7月5日 「男鹿脇本事件」関連
在日朝鮮人工作員尹敏哲が北朝鮮でのスパイ訓練を受けるため秋田県男鹿市の脇本海岸から北朝鮮に向けて密出国。北朝鮮で約1ヶ月間スパイ訓練を受ける。8月5日訓練を終えて潜入案内人の工作員2名とともに秋田県男鹿市の脇本海岸から密入国したところを秋田県警によって逮捕される。潜入工作員はゴムボートで逃走した。
セ 昭和56年の不審人物目撃情報
昭和56年6月ないし7月の20時頃、地元の男女(Aさん、Bさん)が船越海岸の船越水道河口近く、波打ち際から30メートルほどのところでBさんの車を海の方に向けて止めていた。車の窓は閉めていた。運転席にAさん、助手席にBさんが座っていた。
突然、運転席側の窓から中に懐中電灯が向けられた。単3電池を使用した懐中電灯よりは少し強い光ではなかったかと思う。しかしドアはロックしていたため開けられることはなく、そのまま男は立ち去った。Bさんは運転席側を向いていたためその男を見ることはできなかったがAさんは見ることができた。男は2名で黒いウェットスーツ様のものを着用しフードのようなものをかぶっていた。
懐中電灯で照らされた後車を移動した。道に出て男鹿大橋方向に少し行くと2人が歩いていたので徐行して「何かあったのですか」と聞いたが返事はなかった。車を停めてから懐中電灯で照らされるまでは少し時間があった。当時は不法入国対策の海岸警備だと思っていた。しかし拉致問題が話題になったときにAさんは初めて男の姿を語り自分たちもそういうターゲットにされかけたのではないかと思った。
(2)調査会リストの公開失踪者(敬称略)
木村かほる(当時21歳)
ア 失踪時期:昭和35年(1960)年2月27日夕刻
イ 当時住所:秋田市中通6-1-63「日赤秋田看護学校」寮
ウ 最終失踪関連地点:同上
松橋恵美子(失踪当時26歳)
ア 失踪時期:平成4年(1992)1月15日
イ 当時住所:秋田県北秋田郡合川町(現北秋田市)
ウ 最終失踪関連地点:能代市能代浜(私有車発見場所)
薩摩勝博(失踪当時24歳)
ア 失踪時期:昭和48年(1973)年1月
イ 当時住所:秋田県山本郡八峰町
ウ 最終失踪関連地点:同上
石田清(失踪当時25ないし26歳)
ア 失踪時期:昭和44年(1969)
イ 当時住所:秋田県山本郡二ツ井町
ウ 最終失踪関連地点:同上
▲現在「しおかぜ」の放送時間と周波数は以下の通りです
22:00〜23:00 5935kHz,5965kHz(300kW) 5985kHz(100kW)のいずれか
23:05〜23:35 5935kHz,7325kHz(300kW) 5985kHz(100kW)のいずれか
01:00〜02:00 5915kHz,6090kHz,6165kHz (300kW)のいずれか
■調査会役員の参加するイベント(一般公開の拉致問題に関係するもの)・メディア出演・寄稿・特定失踪者問題に関する報道(突発事案などで、変更される可能性もあります)等
★6月16日(木) 18:30 第2回調査会セミナー「なぜ北朝鮮は拉致を行ったのか」(調査会主催)
●UAゼンセン会館 (JR・地下鉄市ケ谷駅下車3分 03-3288-3549)
●代表荒木和博他役員が参加
●問合せ:調査会
★6月18日(土) 15:30 「北朝鮮に拉致された日本人の救出を求めるシンポジウム」(救う会高知主催)
●高知大神宮(大橋通電停徒歩2分 088-872-2635)
●代表荒木・副代表岡田・理事上野が参加
●問合せ:中平さん(090-1006-4470)
★6月30日(木) 18:30 予備役ブルーリボンの会講演会「なぜ北朝鮮は拉致を行ったのか」(同会主催)
●岩国市役所(岩国駅徒歩12分 0827-29-5000)
●代表荒木が参加
●問合せ:予備役ブルーリボンの会(info@yobieki-br.jp)
★7月24日(日)「みんなで考えよう 拉致と特定失踪者の問題」(真の平和と人権を考える市民の会主催)
●岡山市
●代表荒木が参加
★11月12日(土)拉致問題講演会(群馬県主催)
●富岡市
●代表荒木が参加
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★CHANNEL AJER『「救い、守り、創る」第1回『「特定者失踪者問題」とは?』(AJER2016.6.3)
代表荒木が出演
http://ajer.jp/video/show/bc4db11887b1c09dae153393f88e0768(会員制)
★チャンネル桜【防人の道NEXT】北朝鮮向け短波放送「しおかぜ」近況報告-村尾建兒氏に聞く[桜H28/5/25]
専務理事村尾が出演
https://youtu.be/Ambaw3VsSEI
※特定失踪者に関わる報道は地域限定であってもできるだけ多くの方に知らせたいと思います。報道関係の皆様で特集記事掲載や特集番組放送などについて、可能であればメール(代表荒木アドレス宛)にてお知らせ下さい。
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★荒木著『北朝鮮拉致と「特定失踪者」』(展転社刊)
●定価1800円(税別)
●問合せ 展転社(03-5314-9470)
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特定失踪者問題調査会ニュース
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発行責任 者荒木和博(送信を希望されない方、宛先の変更は
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