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2016年7月 2日

拉致の可能性のある失踪者の調査について【調査会NEWS2241】(28.7.2)

 以下は2232〜2234号の内容をまとめて6月30日の記者会見の折に発表したものです。なお、その一部をインターネット放送「チャンネルAJER」で解説しています(会員制・前半無料 http://ajer.jp/video/show/fd0c21560d56a7f0ddeb1c7969cf57b9)。
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●10年間なされていない「拉致認定」

 現在政府認定の拉致被害者は以下の通りである(敬称略)。

昭和52(1977)年 久米裕・松本京子・横田めぐみ
昭和53(1978)年 田口八重子・田中実・地村保志・浜本富貴恵・蓮池薫・奥土祐木子・市川修一・増元るみ子・曽我ひとみ・曽我ミヨシ
昭和55(1980)年 石岡亨・松木薫・原敕晁(ただあき)
昭和58(1983)年 有本恵子

 この中で最後に拉致認定されたのは松本京子さん(平成18年11月拉致認定)であり、以後10年間認定はなされていない。

 拉致認定は蓮池さんら5人が帰国した後にできた支援法(北朝鮮当局によって拉致された被害者等の支援に関する法律)で、支援をするために拉致被害者を定義する必要があり法的な用語となったもの(それ以前は「北朝鮮に拉致された疑いが濃厚」という言い方で、「拉致疑惑」と呼ばれていた)。つまり「拉致認定」は現在拉致されて帰国できていない人を取り返すための定義ではない。その証拠は10年間全く拉致認定が行われていないことである。

 政府がこのやり方を変えないのは、今誰かを認定すれば「なぜ今になって認定するのですか」とマスコミから聞かれたり国会で質問されるからである。そのとき「これまで分かりませんでした」とも「隠していました」とも答えられない。さらに「Aさんを認定するなら同じような状況で失踪しているBさんも認定すべきではないですか」とか聞かれたら収拾がつかなくなる。から認定できないのである。警察が度々言っている「法と証拠に基づいてやっている」など、少なくとも拉致認定に関する限り全くの欺瞞でしかない。

●拉致認定しないための三要件

 拉致認定にあたって政府は「三要件」を掲げている。

(1) 北朝鮮の国家意思が推認される、
(2) 本人の意思に反している、
(3) 北朝鮮に入った証拠や証言がある、

 の三点である。これは漆間巌警察庁長官(平成16年〜19年在任)が明らかにしたもの。しかし例えば寺越武志さんは(1)〜(3)全てを満たしており、本人が北朝鮮にいて家族にも会っているのに拉致認定されていない。逆に曽我ミヨシさんはひとみさんと一緒に失踪し、ひとみさんが拉致されたから認定されているが、(3)については明らかとは言えない。他の認定者についても本当にこれを満たしているのかと思えるケースがある。

 ちなみに政府自身この三要件を否定している。平成25年1月28日、有田芳生参議院議員が提出した「警察庁が開示した行政文書に関する質問主意書」の中で、「現在政府が認定している十七名はすべてこの三条件を満たしていると理解していいですか」との質問に対する政府答弁書は、「現在、政府が拉致被害者として認定している十七名については、関係機関の捜査・調査の積み上げの結果、北朝鮮による拉致行為があったという確認に基づき認定されたものである」となっており、三条件を満たしていないことを認めている。

 このような恣意的基準で考えれば拉致認定されて当然な特定失踪者は少なくない。たとえば昨年松原仁・元拉致担当大臣は「大澤孝司さんと藤田進さんについては大臣在任当時、北朝鮮に拉致されており生存していると認識していた」と調査会の記者会見の場で明らかにしている。「三要件」は拉致認定のための三要件ではなく、認定しないための三要件であるとすら言えるのではないか。

●拉致を明らかにする方法は「帰納的アプローチ」しかない

 失踪者の大部分は失踪当時一般的な家出などと考えられ捜査すら行われていない。これ自体は警察に届けのある失踪の数が膨大だったことからすればある程度やむを得ないとも言える。しかし、その失踪に拉致ではないかという疑いが掛けられた場合、何十年も経った事件で証拠を固めて「これは拉致だ」と明らかにすることなどほとんど不可能である。そして、その一方で拉致されている人がいるのも事実である。それならば真相を究明するには私たちがやっている、「拉致の可能性の排除出来ない失踪者」の事例を集めて、その関係性・類似性などから絞り込んで行くやり方、「帰納的アプローチ」しかないのである。

 このやり方でやれば当然、集まった事例の中に拉致でないと分かる人が出てくる。先日国内での所在が確認された宮内和也さんを含め、調査会のリストではすでに60人近い失踪者が日本国内で所在確認されている。

 私たちは非公開の失踪者でも国内での所在確認をされたときはあえて発表している。発表しなくても分からないのだが、これは失踪者があくまで「拉致の可能性を排除できない失踪者」であり、そうでない人が入っている可能性を理解してもらうためである。しかし見つかったと聞けば「他の失踪者も国内にいるのではないか」と思う人がいるのも当然で、ある意味「拉致の可能性」と発表するのはリスクを負うことでもある。

 しかし、もともと特定失踪者問題調査会はそのリスクを負うための団体であり、誰かがその役を引き受けなければ真相究明は前に進まない。拉致の可能性を調べながら、一方で拉致と断定しないという、アクセルとブレーキを一緒に踏むようなやり方は困難であり、ご家族にも精神的・肉体的に負担をかけることになるが、私たちは今後もこのやり方をさらに推し進めていく。情報提供なども含め、あらためてご協力をよろしくお願い申し上げる次第である。

▲現在「しおかぜ」の放送時間と周波数は以下の通りです
22:00〜23:00 5935kHz,5965kHz(300kW),5985kHz(100kW)のいずれか
23:05〜23:35 5935kHz,7325kHz(300kW),5985kHz(100kW)のいずれか
01:00〜02:00 5915kHz,6090kHz,6165kHz(300kW)のいずれか

■調査会役員の参加するイベント(一般公開の拉致問題に関係するもの)・メディア出演・寄稿・特定失踪者問題に関する報道(突発事案などで、変更される可能性もあります)等

★7月24日(日)「みんなで考えよう 拉致と特定失踪者の問題」(真の平和と人権を考える市民の会主催)
●岡山県総合福祉会館(岡山駅徒歩15分 086-226-3501)
●代表荒木が参加

★11月12日(土)拉致問題講演会(群馬県主催)
●富岡市
●代表荒木が参加
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★CHANNEL AJER 『救い、守り、創る 第2回韓国で考えた日本の安全保障』荒木和博 AJER2016.6.17(3)
代表荒木が出演
http://ajer.jp/video/show/d97307bd3c6ff1669785de885c1c9620(会員制)

★チャンネル桜【防人の道NEXT】北朝鮮向け短波放送「しおかぜ」近況報告-村尾建兒氏に聞く[桜H28/5/25]
●専務理事村尾が出演
https://youtu.be/Ambaw3VsSEI

※特定失踪者に関わる報道は地域限定であってもできるだけ多くの方に知らせたいと思います。報道関係の皆様で特集記事掲載や特集番組放送などについて、可能であればメール(代表荒木アドレス宛)にてお知らせ下さい。
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★荒木著『北朝鮮拉致と「特定失踪者」』(展転社刊)
●定価1800円(税別)
●問合せ 展転社(03-5314-9470)
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特定失踪者問題調査会ニュース
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発行責任 者荒木和博(送信を希望されない方、宛先の変更は
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●カンパのご協力をよろしくお願いします。
郵便振替口座00160-9-583587口座名義:特定失踪者問題調査会
銀行口座 みずほ銀行 飯田橋支店 普通預金 2520933 名義 特定失踪者問題調査会
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