特別検証3(山口・島根海岸)報告 【調査会NEWS2296】(28.9.14)
遅くなりましたが8月31日に実施した特別検証の報告です。なお、地図等画像が非常に重いため前半部分で文章のみにしてあります。ご了承下さい。
1 目的
(1)昭和57年(1982)12月の北朝鮮工作員李相哲(仮名)氏の山口県青海島への上陸経路を李氏同行のもと海上から辿り、当時の工作員密出入国への対処の問題点について検証する。
(2)昭和55年(1980)7月の北朝鮮工作員全忠男氏の島根県益田市への上陸地点を李氏同行のもと調査する。
2 参加者(敬称略・それぞれ五十音順)
・調査会役員 荒木・岡田・杉野・三宅・武藤・村尾
・救う会山口 宇野・加治・光永・三好、山根、米田他
・益田ひろみさんをさがす会 豊田・宮崎
・特定失踪者問題中国地区対策協議会 石原
・救う会ふくしま 赤塚
・予備役ブルーリボンの会 伊藤・西村
この他特定失踪者家族として河田奈津江さん(河田君江さん母)・西村育代さん(西村京子さん母)が参加。また前述のように韓国からは李相哲・元朝鮮労働党作戦部戦闘員が参加した。
3 日程
8月31日(水曜)
08:30 仙崎弁天島集合・ブリーフィング
09:00 出港・工作母船の停泊した相島沖→長門市青海島牛崎(半崎)のルートを辿る。
10:40 帰港・車輌で牛崎の鼻へ。地上からの検証を行う。
13:00 長門市中央公民館に移動。ブリーフィング及び河田さん・西村さんの「しおかぜ」メッセージ収録。昼食
14:00 出発 乗用車で益田市へ
15:30 益田市遠田海岸着・拉致未遂現場検証
16:00 鵜の鼻に移動・検証
17:00 ブリーフィング後解散
18:30 調査会セミナー3(益田市安田公民館 益田ひろみさんをさがす会後援)
20:30 終了
4、検証内容について
(1)長門市
遊漁船「海斗」(10トン)をチャーターして海上からの検証を行ったが、前日東北を通過した台風10号の影響で海が時化て海上からじっくりと海岸を見ることは難しかった。しかしその中でもいくつかのことが新たに分かった。
ルートは可能な限り波を避けるようにしたため当初予定とは異なり、一旦青海島の西側に出て、牛崎の鼻、鼻繰岩の沖を回って北側の海岸近くを前進、その後最短距離で相島沖に行き、検証の後青海島の東側を回って仙崎で一部の体調不良者を下ろし、再度牛崎の鼻の近くまで行ってから戻った。
李氏の説明によれば昭和62年(1987)6月19日、以下のように浸透したとのこと。
工作母船が停泊したのは相島南方の海上。そこで船腹に収納されていた工作子船が離脱し深川湾に向かった。子船での移動中近くには漁船が多数いたが特に気付かれた様子はなかった。子船から組長が泳いで海岸に向かったのは21:00頃。牛崎の鼻に上陸した組長が待っていた男性と接線し、安全を確認して無線で子船に連絡。その後李氏がゴムボートで海岸に向かい2人を乗せて子船に戻った。戻った時刻は22:00から22:30の間。
この間子船が深川湾に停泊していた時間は1時間ないし1時間半ということになる。これについては後述のように伊藤祐靖・予備役ブルーリボンの会幹事長(元海上自衛隊特別警備隊先任小隊長)は長時間の停泊は発見の恐れがあり作戦の意図が分からないとの感想を述べている。
実際に浸透した李氏の話とコンバットダイバーの視点からその状況を検証した伊藤幹事長の感想のギャップは、極めて注目に値する部分である(後述セミナー発言参照)。浸透事態を全く気楽に考えていたとも思えるが、一方で要員に対し事前に訓練をしっかりやっていることと、日本側に存在が暴露されやすいやり方をしていることの関係を見ることで、あらためて北朝鮮工作活動の本質に迫ることができるような気がしている。
連れて行った男性は20代半ばで学生か大学院生という感じ。商売をしたり労働に従事している感じではなかった。朝鮮語は流暢だった。在日ないし韓国人ではないか。
なお、仙崎を出航してからまもなく、海上保安庁の巡視艇「さざんか」が「海斗」を追尾してきた。こちらの活動に関心を持っているのは分かるが、複雑な気分ではあった。
(2)益田市
A、遠田海岸
昭和56年(1981)夏、拉致未遂の可能性がある事件が起きている。これについて二年前当事者女性に事情聴取した「益田ひろみさんをさがす会」から説明を受けた。
B、鵜の鼻
李氏とともに昭和58年(1983)12月の多大浦事件で上陸浸透中逮捕された工作員全忠男氏が昭和55年(1980)7月に上陸している。この場所は全氏が上陸したところに「ク・オ・グム」(「禁漁区」を右から左に書き韓国語読みするとそう読める)と書かれていたと証言したことで分かったもの。
李氏が全氏から聞いたところでは、このときのオペレーションは北朝鮮から帯同した男性を上陸させること。現地で待っていたジャージ姿の男性に引き渡した。格好からすると地元周辺に住んでいる人間なのではないかと思うとのこと。また、全氏は近くに屋根のある休憩所のようなものがあったと証言していたという。鵜の鼻には古墳群があるがそこには見当たらず、鵜の鼻の入口の港にある苫屋のことではないかと推測される。
5、調査会セミナー
代表荒木が今回の特別検証全体について報告、調査会役員もそれぞれ感想等を述べた。「益田ひろみさんをさがす会」の豊田代表・宮崎事務局長が挨拶及び発言した。また李相哲氏、伊藤祐靖・予備役ブルーリボンの会幹事長も登壇した。
(李氏発言の概要)
北朝鮮はどうして拉致をしたのか。北朝鮮では1960年代中盤から日本人化教育を始めた。日本時代を知っている工作員が少なくなってきたからである。日本人化教育のためには日本人が来て教育をしなければならない。風俗・習慣を知らなければならない。それが出来てこそ日本人として日本に浸透して活動できる。
もう一つは身分のロンダリングである。日本人の身分を得て活動するということ。日本人の身分を持っていれば日本でも韓国でも活動しやすい。そのような理由で60年代なかばから80年代に入るまでかなり拉致をしたのではないかと思う。
朝鮮労働党では清津連絡所と元山連絡所の52方向という組織が専門的に日本人拉致を行った。それ以外に人民軍の偵察局でも拉致をしたと聞いている。
山口には韓国に来てから3度目だが、日本は浸透するのに最も適当な場所だと思う。日本を経由して身分を取得して合法的に韓国に入るのにも使い易い。海上保安庁はもう少し私たちに気をつけたら良かったのではないか。
日本は海岸線が長く、武装した軍人が守っているわけでもない。パトカーがときどき海岸線を走るくらい。日本に浸透して捕まりそうになっても日本の警察は撃たないからこちらも武器は持っていなかった。そこで捕まっても密入国で追い出されておしまいである。
2001年に北朝鮮工作船が入ろうとして海上保安庁と銃撃戦をして自沈した。今後は工作船の形態を変えて工作船と分からないような形にするのではないか。
60年代中盤からやっていたと話したが今後も北朝鮮の工作機関が残るとすれば日本人化のために連れて行った人も年を取るわけだからそうなればまた拉致が起きる可能性もあるのではないかと思う。
浸透するときはこの場所に入るという専門教育を1か月程度受ける。何度も模擬訓練をやるのでこちらに露出する可能性は極めて低い。工作員を入れて情報収集する必要はない。それは朝鮮総聯がやる。日本人化教育のために連れて行くということだろう。
(伊藤幹事長の話の概要)
李氏の昭和62年の浸透に関する話を聞いて作戦の意図が見えて来ない。通常であれば現地の状況を見ればいかなる意図でどのように入ったか分かるのだが。
1、工作子船を湾の真ん中に1時間以上待機させるのは発見される可能性があり危険。
2、水深75センチまで入れる工作子船なら近くまで行けるのではないか。
3、薄暮には「市民薄暮」「航海薄暮」「天文薄暮」の三種類がある。
1982年6月19日は新月で日没1930、従って30分後の「市民薄暮」は2000頃、60分後の「航海薄暮」は2030頃、90分後、5等星が見えてくる「天文薄暮」は2100頃になる。子船から案内組長が泳いで牛崎の鼻を目指すのは時間的には早すぎないか。
いずれにしても侵入は極めてたやすいということ。水際で守り切るのは不可能に近い。
浸透を抑止するためには日本国内での作戦実行者・協力者をあぶり出すことではないか。
※李氏は別のところで、「7月の北朝鮮男性上陸で当該人物が乗ってきた船を日本政府が見つけられなかったことから、北朝鮮はあらためて日本が侵入しやすいと認識した可能性がある」と発言している。
(参加者からの発言)
セミナーでは質問の時間にフロアから次のような証言があった。
昭和28年生まれの男性。Uターンで益田に戻って来た。子供のとき拉致されそうになったことがある。小学校1年か2年のとき、従って1960年か61年。担任の先生(女性)から怒られたことを覚えているので。
津田町の海岸で遊んでいて突然20代くらいの男に袋をかぶせられた。近くには船小屋があり漁師が魚を干していた。その漁師が見つけて「コラー」と声をかけたので逃げていった。
かつて国道9号線から県道309号線に入った山の手には朝鮮の人が住んでいた。父親はどぶろくの作り方などを教わった。自分も父親に自転車に乗せられて連れて行かれたことがある。 当時沖に船がいたとの話もある。
<現在「しおかぜ」の放送時間と周波数は以下の通りです>
22:00〜23:00 短波5935kHz,5965kHz(300kW),5985kHz(100kW)のいずれか
23:05〜23:35 短波5935kHz,7325kHz(300kW),5985kHz(100kW)のいずれか
01:00〜02:00 短波5915kHz,6090kHz,6165kHz(300kW)のいずれか
<調査会役員の参加するイベント(一般公開の拉致問題に関係するもの)・メディア出演・寄稿・特定失踪者問題に関する報道(突発事案などで、変更される可能性もあります)等 >
・9月17日(土)14:00 国民大集会(家族会・救う会・拉致議連・知事の会・地方議会全国協議会主催)
・シェーンバッハ・サボー(地下鉄永田町駅4番出口1分)03-3261-8386
・代表荒木他役員が参加
・9月28日(水)14:00 対北ラジオ放送コンテンツ強化のための韓米日英国際会議(統一アカデミー、北韓情報自由国際連帯等主催)
・全国銀行会館(ソウル)
・代表荒木が参加
・問合せ isfink@nknet.org
・10月4日(火)18:00 リアル国防政策を考える集い(民社人権会議主催)
・UAゼンセン会館(市ケ谷駅徒歩3分 03-3288-3549)
・代表荒木・常務理事武藤が参加
・問合せ・武藤(090-8941-8677)
・10月22日(土)18:00 草莽私塾(同会主催)
・かでる2・7(札幌市中央区北2条西7丁目 道民活動センタービル 011-204-5100)
・代表荒木が参加
・問合せ:出口塾頭(011-737-1798)
・10月29日(土)18:00「岸和田青年会議所公開定例会」(同会議所主催)
・岸和田市産業会館(南海本線岸和田駅・阪和線東岸和田駅徒歩15分 072-439-5287)
・代表荒木・常務理事三宅が参加
・問合せ 岸和田青年会議所(072-439-7584)
・11月12日(土)13:30 拉致問題講演会(群馬県主催)
・富岡市生涯学習センターホール(上信電鉄西富岡駅徒歩10分 0274-62-1531)
・代表荒木が参加
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・チャンネル桜【防人の道NEXT】靖国の宴〜国を問わない英霊の語らい-荒木和博氏に聞く[桜H28/8/24]
・代表荒木が出演
・YouTubeで視聴可能
https://youtu.be/oBSXH4yPqzw
・channel AJER(チャンネル アジャ)では代表荒木の担当する番組『救い、守り、創る』を送信しています。会員制ですが1回30分の番組の前半は無料で視聴していただけます。
http://ajer.jp
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<荒木著『靖国の宴」』(高木書房刊) >
・定価1000円(税別)
・問合せ 高木書房(03-5855-1281)
<荒木著『北朝鮮拉致と「特定失踪者」』(展転社刊) >
・定価1800円(税別)
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