「やまと新聞」29.5.2 山本美保さんDNAデータ偽装事件と拉致の闇(2)
「拉致問題の闇を切る」,山本美保さんDNAデータ偽装事件と拉致の闇(2)
1月に(1)を書いてから途中金正男暗殺とかミサイル発射などがあり(2)が書けませんでした。本来(2)は後半部分の事実関係を中心に書くつもりだったのですが、現下の状況が緊迫しているので、それとの絡みで書きます。恐縮ですが、事実関係については拙著『山本美保さん失踪事件の謎を追う』(草思社・平成24年)やYouTubeにアップロードされているアニメ『真実は一つ』(各約10分)などをご覧下さい。
第1部 https://youtu.be/JJyYUDsHQao
第2部 https://youtu.be/M7khwsS1xfs
第3部 https://youtu.be/XFl4drT1kYY
またFacebookでも「山本美保さんDNAデータ偽装事件の真相を究明する会」のページがあります。これらで大体のことは分かります。
申し上げたいことは、拉致問題においてこれらの根本的問題が完全に隠蔽されているのは過去のことではなく、現在の状況だということです。
安倍総理は拉致問題が「最優先課題」であると繰り返し発言しています。加藤拉致問題担当大臣も同様です。しかし、それが嘘であることは誰の目にも明らかです。拉致問題担当大臣及び拉致問題対策本部事務局最大の仕事は、乱暴に言えば「家族会が怒って政府に反旗を翻すのをなだめる」ことなのです。
「拉致問題担当大臣」「拉致問題対策本部事務局」と言えば、おそらく9割以上の人は被害者を救出するための直接的な仕事をしているのだろうと思うでしょう。しかし、外交は外務省がやっていることで加藤大臣は交渉にはほとんどタッチしていません。警察に対する権限もありません。対策本部事務局には情報の担当はいるものの、警察や外務省、海保や公安調査庁などからの出向者がバラバラに活動をしており、情報の共有はほとんどなされていません。
意外に思われるでしょうが、この情報部門は民主党政権で中井洽拉致問題担当大臣が拡充したもので、それまでは情報収集の担当者はほとんどいませんでした。それ以外のスタッフが何をしているかと言えば、家族会対策(一部は特定失踪者家族対策)と、パンフやイベントなどの広報活動がほとんどです。もちろん熱心に仕事をしている人はいますが、組織として拉致被害者救出の努力をしているわけではないのです。
拉致問題の象徴とも言える横田めぐみさん拉致事件について、私たちは調査・検証の結果、事件発生(昭和52年11月15日)当時から政府が北朝鮮による拉致事件であると分かっていたと確信しました。最近横田めぐみさん拉致40周年、家族会20周年の報道で、20年前に明らかになったと思っているかたもおられるでしょう。これは嘘です。政府・警察は20年間国民にはもちろん、家族にすらめぐみさんが北朝鮮に拉致されたことを隠し続けてきたのです。
これについてはチャンネルAJERでお話ししている内容と、私のブログにある調査会特別検証の報告書をご覧下さい。
(チャンネルAJER)
https://youtu.be/gFW0QX31l6s
横田めぐみさんの事件ですらこうなのです。それでもこちらは「不作為の隠蔽」ですが、山本美保さんの場合は「捏造による隠蔽」なのですから、明らかにできないのは当然です。
しかしお役所、特に警察は余程窮地に陥らない限り自らの非を認めません。だから、現状で山本美保さんの事件について「DNAデータを偽装しました」と自ら認める可能性はゼロに近い。
拉致問題担当大臣になった方で大臣就任直後に「山本美保のことはやってるからな」と私に明言した人がいました。大臣室の机にそのファイルがあったのを見た知人がいましたから、何かはしようとしたのでしょう。しかしいつしかその話は全くしなくなりました。
ある拉致問題担当大臣は、就任直後に要請内容を箇条書きにして持って行ったところ、最初から「これはダメ」と言って線を引きました。野党時代に積極的にこの問題について発言してくれた議員が、政権交代して大臣になってから全く言及しなくなったこともありました。
それらは当然警察庁からの働きかけによるものでしょう。それほどこの問題は重大な事件であるということです。
【 「やまと新聞」読者の皆様にお願いです!】
拉致問題で明らかになっていることは氷山の一角の、さらにそのかけらであり、この事件をはじめ、ほとんどのことは隠されているのです。そしてそれが「平和国家日本」の本質なのです。本件に限らず、真実の中には「見なければ良かった」と、後で思わざるをえないことが少なくないと思います。しかし、それを正面から受け止める勇気が私たちには必要です。
あらためて「山本美保さんDNA偽装事件」についてご関心をもっていただきたいと切にお願い申し上げます。
| 固定リンク