共通の学校【調査会NEWS3030】(R01.7.18)
特定失踪者問題調査会事務局次長 杉野正治
今回能登の特別検証では新湊(現射水市)に赴き、昭和49(1974)年に失踪した荒谷敏生さん、昭和60(1985)年に失踪した谷ヶ崎清一さんの検証を行いました。
この二人の注目すべきところは同じ中学校に在籍していたことです。
荒谷さんは昭和39(1964)年4月~42(1967)年3月、新湊市立新湊東部中学校に通学していました。荒谷さん卒業の数年後、東部中学校は200mほど南に移転、統合して「市立奈古中学校(現射水市立新湊中学校)」となりました。
一方の谷ヶ崎清一さんは昭和50(1975)年4月~53(1978)年3月まで、東部中学校から名前を変えた奈古中学校に在籍していました。
両者には11年の差があり同時期には在籍していません。位置も違いますし校名も変わっています。失踪したのも卒業後かなりたってからです。偶然同じ中学校に通っていたというだけのことかもしれません。
しかし現在特定失踪者問題調査会に寄せられた失踪者約470名、うち在籍した学校(中学校、高校、大学)が分かっている方は約400名いますが、そのうち共通の学校出身者が17校、41名にのぼります(同じ学校に通学していた兄弟姉妹などを除く)。内訳を見ると大学4校、高校7校、中学校6校で、中・高校はいずれも公立です。これは統計的に見ても極めて不自然です。
とりわけ中学校に関して言えば、いまでこそ少子化で学校数は減っていますが、昭和30年代は中学校の数もいまより遥かに多かったのです(昭和30年の公立中学校13,022校が平成19年には9,479校。文部科学省調べ)。
地域なのか人物なのか、残念ながらなぜこんなに多いのか決定的な答えはわかりません。しかし共通の「何か」が関わっている可能性は大いにあると考えるべきです。
拉致には多くの人が関わっています。拉致の対象者を選ぶ人、その人を説得もしくは何らかの手段で誘い出して海岸へ連れて行く人、海岸から北朝鮮へ船で連れて行く人。拉致のあとに車を処分したり自宅に無言電話をかけたりするなど偽装工作を行う人……中には自分が拉致に関わったことに気づかなかった人も多かったかもしれません。
特定失踪者の間での共通点は学校のみならず、印刷、医療、高度な技術を持つなど職業の関係、ある時期に限って若い女性、カップルでの失踪が見られます。これら一つ一つの失踪を調べただけではわからなかったことも少なくありません。
「共通の学校」についてもかなり以前から指摘してきたことですが、今回は学校の統合などで校名が変わり、あとになって判明したものです。中には失踪者の家族同士の何気ない会話の中で「あら、その人知ってる」ということだってあります。
特定失踪者家族会の結成で家族同士のつながりができたことで、後からわかったことや思い出したという人もいます。多くの人、多くの視点から失踪を見ていくと、新たなことが判明することもあるのです。
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最新の北朝鮮船・遺体着岸漂流一覧(更新に伴い場所を移動しました)
http://araki.way-nifty.com/araki/2019/06/post-6cc9b5.html
着岸漂流一覧と失踪関連地点マップ
https://drive.google.com/open?id=1Nsd5Xf9dqDa6AsYv5_4VspEFmeNh95qS&usp=sharing
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