« 「奄美大島沖海戦」―九州南西海域不審船事件―【調査会NEWS3457】(R3.6.17)  | トップページ | お役所言葉解説「支障をきたす恐れ」(R3.6.18) »

2021年6月17日

「奄美大島沖海戦」―九州南西海域不審船事件―【調査会NEWS3457】(R3.6.17) 

特定失踪者問題調査会副幹事長 杉野正治

 平成13(2001)年12月22日、鹿児島県奄美大島沖で北朝鮮の工作船と海上保安庁の巡視船が銃撃戦を行い、最終的には工作船が自爆して沈没したという事件を覚えておられる方も多いでしょう。この銃撃戦の模様は映像で公開され、日本中に衝撃と戦慄が走りました。北朝鮮の一部のナラズ者が大量の覚醒剤を日本国内に持ち込もうとした…当時はそんなイメージだったように思います。しかし平成14(2002)年9月11日に船体を引き揚げた直後の17日、小泉総理が訪朝して北朝鮮による日本人拉致が大きく報道されました。北朝鮮がナラズ者国家であることが公然と語られるようになったのです。

◆3日前から発見されていた

 この不審船を最初に発見したのは在日米軍です。12月18日に「不審船あり」の情報が防衛庁(当時)に通報され、哨戒機を飛ばして船を撮影・分析を行った結果、北朝鮮工作船の可能性が大きいと見て、海上自衛隊の哨戒機や護衛艦を現地に急行させています。さらに海上保安庁に伝達し、22日の深夜1時過ぎに海保の第十、第十一管区保安本部から巡視船「あまみ」「いなさ」「きりしま」「みずき」が九州各地から現場に急行し、航空機とともに不審船を補足・追尾。中国とのEEZ境界線を前にして、漁業法に基づいて検査をするため停船命令を出しました。そして巡視船数隻で停戦させようとしたところ、突然不審船からは銃撃を開始し、ロケットランチャーで砲撃を行ったのです。巡視船側も応戦しましたが、不審船は自爆して沈没。乗組員(推定15名)は全員死亡したものと思われます。後に8名の遺体が引き揚げられました。

 自爆して沈没する直前、この船から乗組員が海中に何かを投げ入れていたことが確認されています。大量の覚醒剤や暗号を送受信する際の乱数表などだと思われます。後に回収されたこの船の乗組員の携帯電話の通信履歴から、在日韓国人(のちに別の犯罪で逮捕)との通信が頻繁に行われていたことがわかりました。この携帯電話は岐阜県で契約されたものでした。

 船自体も、水上こそは漁船を偽装していますが、水面下は特殊なつくりになっていました。高速で航行できるように深く切り立った船底の形、ハイテン鋼(強くて薄く、軽い)でできた船体、後部を観音開きにして内部には小型の船を収納するなど、工作活動に特化したものと言えます。漁船の改造などではなく、最初から工作船として造られたものです。船首に「長漁3705」と書いたり中国国旗らしき旗を振ったりして中国漁船のフリをしましたが、北朝鮮の工作船であることは明らかです。

 それにしても米軍の通報から海保の着手までおよそ3~4日。その間に専門家の分析やら省庁間のややこしい手順を踏んでいたのでしょうか。これだけ時間があれば、余裕で日本の近海から逃れることができそうです。もしかすると撃ってきたり自爆したりしなければ、日本のEEZ(経済水域)を出るまで「粘り強く」追跡を続けていって…なんて考えすぎでしょうか。

◆「犯罪」ではなく「戦争」

 この工作船は、単なる「ヤクの運び屋」ではありません。北朝鮮は国を挙げて覚醒剤を製造していますし、日本国内で売り捌けば莫大な資金を得ることができます。北朝鮮の経済事情を考えると、覚醒剤の運搬も工作活動の一環です。人(工作員や拉致した日本人)やモノ(無線機などのハイテク機器や麻薬類などの)など、おおっぴらに運べないものをこの船で運んでいたと思われます。日本海の取り締まりが厳しくなったら九州南部や太平洋側に回っていく新たなルートを築いていったことも考えられます。さらにはこうした侵攻に対する海保や海自、米軍の反応も探っていたかもしれません。

 船体の中にはゴムボートや水中スクーターなど上陸に使われるものや、無線機、金日成バッジ、毛布、タバコなどの遺留品もありました。なかで目を引くのは防水加工をした鹿児島県薩摩半島先端の2枚の地図です。昭和46(1971)年には、北朝鮮工作員が上陸した事件(馬渡事件)があった場所です。この地点での上陸・脱出が数十年にわたって恒常的に行われていたことが伺えます。

 引き揚げられたものの中で最も眼を見張るのは、多数の武器類が搭載されていたことです。自動小銃4丁、軽機関銃2丁、手榴弾、ロケットランチャー、無反動砲、さらには二連装機銃も備えられていました。こうなるともう殺傷能力云々の次元ではありません。航空機や船舶など、当たったらイチコロです。「あまみ」に対して発射されたロケット弾(2発)が命中しなかったのは、奇跡というほかありません。つまりこの船、単にウラ社会の人間が金儲けのために覚醒剤を運んでいたのとはワケが違うのです。

 もちろん自衛隊も上空などから海保と連携をとって、いつでもこれをサポートする態勢にありました。ただしうかつに射撃することはできません。あくまで「犯罪」ですし、銃撃でもしようものなら「海上警備行動」(=戦闘行為)となってしまいます。日本には犯罪行為と戦闘行為の間にはとてつもなく強大な「壁」が存在するのです(ちなみに英語ではBattle of Amami-Oshima=奄美大島沖海戦と呼ばれるそうです)。

 これらの武器などから考えると、もはや「犯罪」ではなく「戦争」です。海上での警察権しかない海上保安庁に工作船の対処を委ねてしまうのも、何だか気の毒な感じがします。13~20ミリの機関砲、小銃、拳銃しか備えておらず、防弾処理がなされていない船が、漁業法違反を根拠に武装化した船を停船させようとしていたのですから。(実際に防弾化されていなかった巡視船「あまみ」は、100発を超える銃撃を受け、銃弾が船体を貫通してレーダーやエンジンのうちの一つも破壊されました。また銃撃戦で乗組員3名が負傷しました)。

 この件をきっかけに巡視船の防弾化や機関砲の搭載などが図られることになりました。装備などが向上するのは結構なことですが、海上防衛の意識がどこまで高まったかということがより大事になってくるでしょう。この件を「覚醒剤密輸」という犯罪の次元で判断しないことです。

 この工作船、搭載されていた武器などとともに横浜みなとみらいにある海上保安庁の資料館に展示されています。赤レンガ倉庫のすぐとなり、無料で見ることができます。観光の際はぜひ足を運んでみてください。

======================================  

●クラウドファンディング「READYFOR」の「北朝鮮向けラジオ放送『しおかぜ』応援プロジェクト」ページはこちらです。

https://readyfor.jp/projects/61998

<調査会役員・特定失踪者家族会三役等の参加するイベント(一般公開の拉致問題に関係するもの)・メディア出演・寄稿・特定失踪者問題に関する報道(突発事案などで、変更される可能性もあります)等> 

※事前申込み・参加費等についてはお問い合わせ先にご連絡下さい。 

★7月23日(金)14:00 維新政党・新風シンポジウム(同党主催)

・きゅりあん(品川区立総合区民会館)

  大井町駅前(品川区東大井5-18-1)

・調査会代表荒木・幹事三浦が参加

・問合せ:児玉さん(090-9235-1790)

★8月22日(日) 神戸集会(福岡方式:一般参加とYouTubeライブのハイブリッド開催)

・代表荒木が参加

https://www.youtube.com/channel/UCSa3H61PRYDyRy4aHvF_VSA

★08/28(土) 福島集会(福岡方式:一般参加とYouTubeライブのハイブリッド開催)

・代表荒木・幹事赤塚が参加

https://www.youtube.com/channel/UCSa3H61PRYDyRy4aHvF_VSA

★9月2日(木) 18:30 石川集会(福岡方式:一般参加とYouTubeライブのハイブリッド開催)

・代表荒木・幹事大口が参加

https://www.youtube.com/channel/UCSa3H61PRYDyRy4aHvF_VSA

★9月11日(土)14:00 熱田神宮文化講座(熱田神宮主催)

・熱田神宮文化殿

 名鉄神宮前徒歩3分(名古屋市熱田区神宮1-1-1)

・代表荒木が参加

・問合せ 熱田神宮文化殿(052-671-0852)

★9月18日(土)17:30「草莽志塾」(同塾主催)

・かでる2.7(札幌市中央区北2条西7丁目 011-204-5100)JR札幌駅徒歩13分

・調査会代表荒木が参加

・問合せ・出口塾頭(011-737-1798)

  ※事前申込みが必要です

代表荒木のYouTubeチャンネル

 毎日5~10分配信しています。RadioTalk・GooglePodcastなどでは音声配信で聞くことができます。

https://www.youtube.com/channel/UCSa3H61PRYDyRy4aHvF_VSA

 ★FM「オレがやらなきゃ誰がやる!」 

毎週木曜日21:00~、「RADIO TXT FM Dramacity 776.fm」(札幌) 他

幹事長村尾がパーソナリティー  

現在休止していますがバックナンバーはYouTube Office Movementのチャンネルからはいつでも聴取できます。

https://www.youtube.com/channel/UCTtzOOIcIOa22_gnLubk8Dg

★インターネット放送 channelAJER(チャンネル アジャ)では代表荒木の担当する番組『救い、守り、創る』を送信しています。会員制ですが1回26分の番組の前半は無料で視聴していただけます。 

http://ajer.jp 

★予備役ブルーリボンの会の動画配信「レブラ君とあやしい仲間たち」

・代表荒木がキャスターをつとめています。

https://www.youtube.com/channel/UCPrqeCO5CGlj9Imyzz1_XTg

----------- 

※特定失踪者に関わる報道は地域限定であってもできるだけ多くの方に知らせたいと思います。報道関係の皆様で特集記事掲載や特集番組放送などについて、可能であればメール(代表荒木アドレス宛)にてお知らせ下さい。 

////////////////////////////////////////////////////////// 

北朝鮮船・遺体着岸漂流一覧(令和3年1月22日現在確認分)

http://araki.way-nifty.com/araki/2021/01/post-2e613f.html

着岸漂流一覧と失踪関連地点マップ

https://drive.google.com/open?id=1Nsd5Xf9dqDa6AsYv5_4VspEFmeNh95qS&usp=sharing

_________________________________________ 

特定失踪者問題調査会ニュース 

--------------------------------------------------------- 

〒112-0004東京都文京区後楽2-3-8第6松屋ビル301 

Tel03-5684-5058Fax03-5684-5059 

email:comjansite2003■chosa-kai.jp 

※■を半角の@に置き換えて下さい。 

調査会ホームぺージ:http://www.chosa-kai.jp/ 

YouTube https://www.youtube.com/channel/UCECjVKicFLLut5-qCvIna9A 

発行責任者荒木和博(送信を希望されない方、宛先の変更は 

kumoha551■mac.com宛メールをお送り下さい) 

※■を半角の@に置き換えて下さい。 

<カンパのご協力をよろしくお願いします> 

■特定失踪者問題調査会■ 

●クレジットカードでのカンパが可能です。ホームページから入って手続きできます。 https://www.chosa-kai.jp/net_de_kifu

●郵便振替口座00160-9-583587口座名義:特定失踪者問題調査会 

●銀行口座 みずほ銀行 飯田橋支店 普通預金 2520933 名義 特定失踪者問題調査会 

●労金口座 中央労働金庫 本郷支店 144093 名義 特定失踪者問題調査会代表 荒木和博 

(銀行口座のカンパで領収書のご入用な場合はご連絡下さい) 

■特定失踪者家族会■ 

郵便振替口座 00290-8-104325 特定失踪者家族会 

銀行口座 ゆうちょ銀行 普通預金 店番128(イチニハチ) 口座番号4097270 特定失踪者家族会

_____________________________________________________

|

« 「奄美大島沖海戦」―九州南西海域不審船事件―【調査会NEWS3457】(R3.6.17)  | トップページ | お役所言葉解説「支障をきたす恐れ」(R3.6.18) »