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2021年12月23日

粘り強く【調査会NEWS3544】(R3.12.23)

 明日のYouTube「ショートメッセージ」で取り上げたのですが、今から16年前、平成17年(2005)6月14日参議院予算委員会の質疑の話です。

 森ゆうこ議員(当時民主党・現在立憲民主党拉致問題対策本部長)が細田博之官房長官に「具体的にどうやって拉致被害者を取り返すのか」と質したところ、細田官房長官は次のように答弁します。

 「先方も政府で、彼らのこの領土の中においてはあらゆる人に対する権限を持っておりますので、これは我々が説得をして、そして彼らがついに、実は生きておりました、全員返しますと言うまで粘り強く交渉をすることが我々の今の方針でございます」

 その後16年、「粘り強く」交渉してきたのかどうか分かりませんが北朝鮮は「実は生きておりました、全員返します」とはひと言も言っていません。言っているのは「拉致問題はもう解決済み」ということだけです。

 この答弁は「拉致被害者は見捨てます」というのと同義語ですが、それどころではなく、「海外で戦乱に遭った邦人の救出もしません。できるのは話し合いだけです」ということをも意味します。本当ならこれだけで内閣がすっとんでもおかしくない答弁ですが、細田さんは別に北朝鮮寄りというわけではなく、要はこれこそが何十年にも渡る政府の根本方針だということです。この点はその後政権交代した民主党政権、そして「拉致問題を解決する」と言った安倍総理の政権でも変わっていません。私たちはこれがわが国の現実であるということを直視する必要があります。

 この森議員と細田官房長官の質疑答弁は国会の議事録検索システムでご覧になれますが、ご参考まで私のブログにも載せておきましたのでよろしかったらご覧下さい。(下に付けてあります)

 

 ところでこの質疑をあらためてみると色々なことに気付きます。当時は経済制裁も実施しておらず、万景峰号をはじめとする北朝鮮船舶もやってきていました。その点は後に改善されました。また翌年には松本京子さんの拉致認定も行われました。質疑答弁も今の国会審議よりはるかに踏み込んだもので、その裏には世論が高まっていたことが感じられます。当時は金正日が拉致を認め蓮池さんたち5人が帰国してからまだ3年も経っていませんでした。

 一方で当時まだ立ち上がっていなかった拉致問題対策本部を作るべきではないかという質問については、「日朝国交正常化に関する関係閣僚会議というのがございまして、そこに官房副長官を議長とする拉致問題に関する専門幹事会を設置しておりまして…」と答弁しています。ここでも日朝国交正常化の枠の中に拉致問題が入っているのだな、と気付いた次第です。

 本当に政府が「粘り強く」やっているのは国交正常化であって拉致被害者救出ではない、いや、被害者も家族もいなくなって国民が諦めるまで「粘り強く」やっているのか、とすら思ってしまいました。

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第162回国会 参議院内閣委員会 平成17年(2005)6月14日 
○森ゆうこ君 民主党・新緑風会の森ゆうこでございます。
 今日は、拉致問題についてまず質問をさせていただきたいと思います。
 前回、私が細田官房長官に対してこの拉致問題のことについて質問させていただいてからもう既に三か月たちましたし、御存じのとおり、十二月二十四日、細田官房長官が談話として述べられた、北朝鮮側が今後迅速かつ誠意ある対応をしない場合、日本政府として厳しい対応を取らざるを得ないと、このように表明されてからもうすぐ六か月、半年がたとうとしております。拉致被害者の御家族の皆様は、全く動こうとしない政府の対応に業を煮やして、この二十四日に、高齢の身を押して皆さんが座込みをしようということが決定されているということは御存じだと思います。
 私は、三十年近くも待たされてきた家族の皆さん、この場で、この期に及んで、この梅雨の時期に、高齢の皆さんに三日間も座込みをさせるわけにはいかない、何としても政府としてきちんとした対応を取っていただきたいという思いから本日質問をさせていただくことにいたしましたので、どうかきちんとした御答弁をいただくように、まずお願いを申し上げたいと思います。
 最初に伺いたいんですけれども、昨年の十二月以来、この過去六か月間、半年間の間に、北朝鮮は迅速かつ誠意ある対応をしたかどうか、このことについて政府はどのように認識していらっしゃるか、伺いたいと思います。
○国務大臣(細田博之君) このような機会でございますので、今まで詳細に外向けにお話ししたことがないわけでございますが、北朝鮮とのやり取りをちょっと、そう長くならない時間で申し上げたいと思います。
 昨年十二月八日、遺骨として提供された骨が別人のDNAが検出されたとして強く抗議いたしました。そうして、十二月二十四日、北朝鮮側から提示のあった情報及び物的証拠に対する精査結果を御家族に説明し、その概要を対外公表しました。そして、十二月二十五日に北京ルートを通じまして、精査結果概要及び横田めぐみさんの遺骨とされたものの鑑定結果要旨を手交しております。先方に渡しております。
 それに対し、十二月三十一日、北朝鮮側外務省スポークスマン談話として、受け入れることも認めることもできない、日本の結果はできないと、そう申しております。そして、本年一月十七日、北朝鮮外務省スポークスマンは声明を発し、日本の植民地支配、拉致問題等に関する声明を発表し、これまでの対朝鮮政策について再検討し、朝日平壌宣言の精神に即して、過去の清算のための決断と実践的措置を講じるべきと主張しております。
 そして、一月二十四日、朝鮮中央通信が備忘録を発表し、いわゆる骨片、骨ですね、に関する日本側鑑定結果に対する考え方を含む備忘録を発表しております。一月二十六日、北京のカナダ大使館ルートを通じて備忘録を伝達して、骨片の返還を要求してきました。
 そして、その間、二月十日には我が方から北朝鮮側備忘録に対する反論を伝達しております。
 我が方反論に対し、二月二十四日、北朝鮮側から回答がございまして、北朝鮮側が横田めぐみさんの遺骨として我が方に渡した骨を遅滞なく返還し、責任ある者の処罰を求める、日本政府の言う厳しい対応に合わせて行動措置を選択するなどと言ってきました。
 これに対して、また二月二十四日、北朝鮮側からの回答に対して外務報道官談話を発表し、生存する拉致被害者の即時帰国と真相究明を改めて強く求め、北朝鮮側が今後も引き続きこうした対応に終始する場合には、北朝鮮に対する厳しい対応を講ずることをせざるを得ず、このことは北朝鮮の利益にならないことを重ねて表明しました。
 三月十七日にネイチャー誌が関連社説を発表して、これは二月三日に発表しておるんですが、DNA鑑定というものは汚染されている可能性がある等とした論文が掲載されておったわけですが、三月二十二日になりまして、それらについて北朝鮮労働新聞がネイチャー誌記事関連の論説記載、掲載をしたということでございます。
 それから、在北京北朝鮮大使館が、四月十三日、北朝鮮大使館発で我が方在中国大使館あてのファックス文書、横田めぐみさんの遺骨の件に関し、従来同様の立場を示すと同時に、ネイチャー誌の記事に言及している、そういうことが、(発言する者あり)いや、これですべてでございます。
 それから、四月二十七日に田中実さんの問題というふうに、実はこの半年の間、先方もそれぞれ対応してきております。
 そして、しかし、そのことをじゃ評価して、どういう評価だといえば、私どもは、このような対応は彼らの行動を正当化する内容ばかりでございまして、我が方としては誠実な対応とは認めておりません。
○森ゆうこ君 つまり、この半年間、北朝鮮はこの問題に関して誠意ある対応は全くしていないというふうに判断されているということでよろしいですね。もう一回確認します。
○国務大臣(細田博之君) よく世の中の人が、全くナシのつぶてで何の反応もしてないように誤解している人がありましたから、こういう反応はしてきておると、しかし内容は誠意ある対応でないと、こういうことでございます。
○森ゆうこ君 今のようなことをずっと述べられることに何の意味があるのかというふうに思いますが、まあ、むしろ今言っていただいたということで、北朝鮮が全く誠意ある迅速な対応をしていないばかりか、日本側を愚弄するような、そして拉致被害者、そして拉致家族を愚弄するような、そのような対応しかしてきていないということがむしろ明らかになったと思います。
 それでは、過去六か月間、日本は拉致問題について何を具体的にどうしたんでしょうか。何か進展がありましたでしょうか、お答え願います。
○国務大臣(細田博之君) 今申し上げた中にもございましたように、こちらから誠意ある対応を求め続けてきたわけでございます。
○森ゆうこ君 その結果、全く何の進展もありません。
 官房長官、北朝鮮が迅速かつ誠意ある対応をしない場合、日本政府は厳しい対応を取らざるを得ない、こう発表されたのは細田官房長官でございます。既にそれから半年が経過しようとしております。今正に我々は、もう本当に遅過ぎると思いますけれども、厳しい対応を決定すべきではないでしょうか。
○国務大臣(細田博之君) 私どもは、厳しい対応というときに、国会で法案を成立していただきました経済制裁も含まれ得るわけでございます。
 現時点で我が国が北朝鮮に対する経済制裁を実施することが、拉致問題その他の諸懸案について前進を図る上で最適であるかどうかについては、なお状況を見て検討をしていく必要があると考えているわけでございます。
○森ゆうこ君 ずっと検討しているということなんですけれども、経済制裁をしない理由は何ですか。
○国務大臣(細田博之君) 経済制裁というのが、言わば我が国の最終的な行為であるということが一つ。それから、国際的に連携を取って経済制裁をするということが最も効率的なわけでございますが、日米関係でいろいろな話合いを行うときに、今六か国協議が進んでおりますけれども、これらとの総合的な関係で経済制裁問題を考えた方がいいというような意見も出されておるということも参考にしております。
○森ゆうこ君 経済制裁が北朝鮮問題解決の妨げになるという、そういう意味ですか。経済制裁をした場合に、それは進展をさせるどころかこの問題の解決、その進展の妨げになるとお考えになっていらっしゃるんですか。
○国務大臣(細田博之君) 経済制裁というのは様々な脱法的な措置というものも考えられます。貿易の制限措置を講ずればほかの第三国経由になってしまうとか、いろんな問題は確かにあるわけでございます。多国間協力をして経済制裁をしたという例は、これまでもインド、パキスタンの核開発の問題とかイラク、イラン、その他リビアとか様々なときに国際的に話し合いながらやった例もございます。そういうふうにして発動した方がいいのではないかという意見もございます。
 我が方としては、それらを総合的に考えておるわけでございまして、制裁をすべき事態であると、この拉致問題というのはそこまで考えてもいい事態であるということは認識しつつ、今忍耐強く折衝しておるわけでございます。
○森ゆうこ君 忍耐強く折衝とおっしゃいましたけれども、何も進んでいないんですよね。
 齋木審議官に伺いたいんですけれども、最近何か折衝があったんでしょうか。
○政府参考人(齋木昭隆君) 北京の大使館ルートで様々なやり取りをしておりますということは、先ほど官房長官の御答弁にあったとおりでございます、御説明があったとおりでございます。誠に遺憾ながら、面と向かっての交渉というのがここ半年間途絶えていることは事実でございます。
○森ゆうこ君 もうほかに何も打開策がないんですよね、はっきり言って。
 今日は拉致された横田めぐみさんの御両親、横田滋さんと横田早紀江さんが傍聴席に来ていらっしゃいます。御存じのとおり、先週の金曜日、この参議院の拉致問題対策特別委員会において、お二人、参考人として意見を陳述されました。私も傍聴させていただいておりました。そしてまた、改めてこの原稿を、未定稿ではございますけれども読み直し、昨夜また読み直したんです、後ほど一部引用をさせていただきたいと思うんですけれども、日本は全く何も今手を打てないでいる。何かやらなければ何の進展もつかめない。やれるカードは持っているんですよ。特定船舶入港の禁止法、なぜ何もやらないんでしょうか。金曜日の横田早紀江さんのお訴えを私、ここで引用させていただきたいんですけれども、途中からです。
 小泉総理は、対話の窓口が閉ざされるということを理由に慎重な姿勢を崩しておりません。ごめんなさい、これは滋さんの方でした。ごめんなさい。私たちは、増元さんのお父様がおっしゃった言葉、私は日本を信じる、だからおまえも日本を信じろと増元照明さんに病の中からおっしゃった言葉が忘れられないんです。これは本当に国民全部が思わなければならない言葉だと思います。
 御家族の皆様は、本当に日本政府は、政府としてこの拉致問題を解決する気持ちがあるのかと、正直言って、口には出されませんけれども、そういう思いがおありです。しかし、政府を信じなければならない、めぐみさんたちを取り戻すために日本政府を信じようというふうに言い聞かせながらずっと待っていらっしゃるわけです。
 で、官房長官にお聞きしたいんですけれども、拉致被害者そして家族の皆さんは日本政府を信じてもよろしいんでしょうか。
○国務大臣(細田博之君) まず申し上げたいことは、この拉致被害者の方々が必ず生存しておられると、先方がいろいろな証拠らしきものを提示してお亡くなりになったと言っていることには一切信ずるに足るものがないと、しかも遺骨と称するものも本物でなかったということから、我々は大前提といたしまして生存しておられると、したがって断固これを、もちろん向こうの政府がこれを阻止しておるわけでございますから、救出しなければなりません。そういう方針で一生懸命対応しておるわけでございます。
○森ゆうこ君 それならば、なぜ拉致対策本部をおつくりにならないんでしょうか。これは家族会、救う会、様々な拉致問題に関する会が要望しております。きちっと拉致対策本部をつくって、そしてこの問題の解決に向けてもう政府が優先順位第一の課題だということで進めていくという姿勢を示すためにも対策本部をつくるべきだと思うんですが、なぜ拉致対策本部、いまだにつくられないんでしょうか。
○国務大臣(細田博之君) まず、これを内閣に置いておるということは、日朝国交正常化に関する関係閣僚会議というのがございまして、そこに官房副長官を議長とする拉致問題に関する専門幹事会を設置しておりまして、内閣官房、警察庁、法務省、公安調査庁、外務省、厚生労働省、総務省、文部科学省、国土交通省等、それぞれの役割の省庁が入って、これは局長級でございますから実務家の最高責任者でございますが、常に緊密に連絡し合っております。
 そして、認定についても新たに増やしたり、そういうことも含めて、それから一件ずつ不明者、これはいわゆる十五人、十六人の方以外にも何百人とおられますから、すべて警察、情報当局、公安当局も一人ずつこれを当たるように、そして現実に動いておるわけでございます。
 したがって、私どもとしては、この専門幹事会というのはそれなりにこの目的には沿っておると思いますと同時に、これまで我々も拉致被害者・家族支援室という別途の機構を設けておりましたけれども、家族支援室というと、お帰りになった家族の方を支援するということに重点があるように見えますが、これはすべて、今までに向こう側が認めた家族はお帰りになって、ジェンキンスさんの御家族始め皆さん、三家族については済んでおりますので、むしろ拉致問題連絡・調整室ということで全体に取り組むということをはっきりさせた方がいいということでこの改組をしておるわけでございます。
○森ゆうこ君 そうしますと、この北朝鮮に拉致をされた拉致被害者、今何か私の質問、後からのやつに答えられたのかな、被害者の捜索そして救出について責任を負っている機関というのはどこになりますか。
○国務大臣(細田博之君) まず、拉致問題連絡・調整室がこの問題について担当しておると同時に、先ほどの日朝国交正常化に関する関係閣僚会議の下にあります拉致問題に関する専門幹事会でございます。
○森ゆうこ君 では、金曜日の拉致特で、これは民間の機関でございます、政府がきちんとそういう機関をつくって取り組まないものですから、特定失踪者問題調査会の荒木さんが参考人としてお見えになりまして、このように指摘をされております。
 多くの拉致被害者を北朝鮮に残したまま長い年月が経過して、そして被害者の大部分についてはそれがだれであるかも明らかにできないということは、間違いなく政府の不作為でございます。曽我さんが拉致被害者であるということを北朝鮮側が発表した後、日本の警察であれ、あるいは国会であれ、内閣であれ、どこの機関一つとして、曽我さんに対して二十四年間拉致と気が付かなかったことを申し訳ありませんでしたと謝った方はおられませんでした。つまり、これはどういうことかというと、この国の中でだれが拉致をされているか、捜すことに責任を持っている機関自体が存在をしていないということでございます。大部分のこの被害者がそして帰国できていない、しかし帰国できていない現状がずっと続いているわけでございますが、続いていることについてもだれも責任を取ろうとしないわけでございまして、このようなことは絶対に許されるべきではないということであるというふうに思います。
 このように意見陳述をされておりますが、それでは私は、荒木さんに対して、本日官房長官からこの問題、だれが拉致をされているのか、そしてその拉致をされている方に関して捜索をし、そして救出をする責任を負っている機関はただいまのとおりであると御報告申し上げてよろしいんでしょうか。
○国務大臣(細田博之君) 先ほど申しました拉致問題に関する専門幹事会を中心に、局長クラスで編成しておりますこの会議でもって責任を持った対応をすべきでもあるし、しておると思っております。
 ただ、曽我ひとみさんのことにつきましては、本当に返還、北朝鮮側からそういう発表があるまで当方がそれを知らなかったということは誠に申し訳ないことだと私は思っておりますし、そして今我々が取り組んでおりますことは、いわゆる被害者として認定された方々だけではなくて、あらゆる可能性があると。特定失踪者に関する団体から顔写真も、土地、出身、いつ失踪されたという情報で百数十名、取り方によりますけれども情報をいただいておりますが、それを更に、それを基に一件一件調査をするという形で、我々としてはこれらの方々の中にやはり拉致被害者がいるのではないか、その具体的な証拠を探して、続けておると、それは各市町村レベルでも警察あるいは情報当局、公安当局の方々が一件一件当たっておられるということを申し上げたいと思います。
○森ゆうこ君 ただいまお話のありました被害者の認定について、さきの参議院の予算委員会でも同僚の山根議員の方から質問があったと思います。この認定の人数が少ない、少な過ぎるということ、これは我々が北朝鮮に対して日本人、拉致した日本人を返せというふうに要求をしていく、このときに日本政府が拉致被害者として認定をしていないということは、それは障害になっているのではないか。当然、交渉する場合には、まずこれこれの人たちが拉致されているということを政府として認定をして、そして相手に突き付けていくということでなければこれは説得力はないわけですから、この認定者の人数については少な過ぎると度々様々な場所で指摘をされているところだと思いますけれども、この件についてそれぞれのまず担当部署から伺いたいと思いますが。
○政府参考人(小熊博君) 内閣府といたしましては、拉致被害者の認定につきまして、北朝鮮当局により実行された拉致行為の有無を基準として判断しておりまして、関係省庁とも情報の整理をした上、その拉致行為があったという情報があった場合には速やかに拉致被害者と認定しているところでございます。現在のところは十六名の方が認定されているところでございます。
○政府参考人(瀬川勝久君) 拉致被害者のいわゆる認定という問題につきましては、内閣総理大臣が関係行政機関の長と協議した上で行うということだと承知をしております。
 警察といたしましては、北朝鮮による日本人拉致容疑事案という警察の立場としての捜査的観点からの判断で十一件十六名というふうに現在まで判断をしております。これは、いろんな方からの事情聴取あるいは裏付け捜査、国内外の関係機関との情報交換などの積み上げによりまして拉致と判断するに至ったものであります。
 拉致と判断するにつきましては、大変、これは被害者の所在も不明であり、また目撃者もいない、証拠もほとんど残されていないという大変難しい状況があるわけでございますけれども、鋭意そういったものの積み重ねによりまして判断をしてきているというものでございます。
 一番近々では、本年の四月に、田中実さんの事案につきまして新たに拉致被害者という判断をしたところでございます。これは、神戸市内の飲食店に出入りしていた方が、北朝鮮からの指示を受けた在日朝鮮人の甘言によりまして、昭和五十三年の六月ごろでございますが、海外に連れ出された後、北朝鮮に送り込まれたというものでございます。これも、かねてから非常に容疑が濃いのではないかということで私ども鋭意捜査をしてまいりました。
 また、昨年の十月には、拉致問題の担当の都道府県警察の課長を集めまして全国会議を開催をいたしまして、強く再捜査を指示いたしました。その結果、徹底した洗い直しによりまして新たな証人をやっと発見をすることができました。で、田中実さんにつきまして新たに拉致容疑事案と判断することができたということでございます。
 今後とも、警察といたしましては、これ以外にも拉致と判断されるべき事案があるものというふうに考えておりまして、鋭意捜査を進めてまいることとしております。
○森ゆうこ君 外務省に伺いますが、外務省は交渉するときにこの認定者を基に交渉していらっしゃるわけですよね。
○政府参考人(齋木昭隆君) 政府として、認定した方々については、北朝鮮当局に対してその安否の確認及び即時に日本側に対して返すべきであるということの申入れをずっとしてきております。
○森ゆうこ君 つまり、政府が認定していないと、北朝鮮に対して返せと要求をするということについては非常にやりにくいという点があるんじゃないんですか。
○政府参考人(齋木昭隆君) 政府として認定していない方々についても、私どもからは一々のその名前も挙げたことも実はございましたけれども、これまでの北朝鮮側とのやり取りの中で、拉致された疑いのある方々についてということで、もし、そういう方々の安否についてきちっと我々としては把握したいので日本側に対して情報を提供すべきであるという形での要求をしてきております。
○森ゆうこ君 今までのこのやり方ですと、前にも指摘されておりますけれども、本当に今現在拉致をされて、今救いを待っている人たち、その人たちほとんどは日本政府は把握してないんですよ、きちんとした把握を。
 で、先ほどの警察、警察はそういう取組の仕方だと思います、捜査をしてその証拠が積み重なった場合に、それをそういう可能性があるということで提出して、これ認定してくださいということで認定を依頼すると、それに基づいて認定を行うと。今のシステムではそうですけれども、じゃ、それに基づいて今認定しているのがたったの十五人。で、たったの十五人を返せと。これじゃ、拉致問題の解決になりませんよ。実際に今お帰りになっている拉致被害者の方、これは最初から政府が認定されていた方なんですか。外務省でもいいですし、室長、小熊さんでも。
○政府参考人(齋木昭隆君) 少なくとも曽我ひとみさんについては、先ほどからのやり取りで御案内のように、政府として認定しておられなかった方でございますけれども、その他の方々についてはそうでございます。
○森ゆうこ君 政府が全く認定していない人たちがいるわけですね。先ほどの特定失踪者問題調査会のリストに挙がっている人はたくさんいらっしゃるわけです。そして、疑いが濃厚になっている人も本当に大勢いらっしゃる。そういう人たちにも帰っていただかないと、これは拉致問題の解決にはつながらないわけです。
 外務省が交渉していく場合に、先ほど答弁にもありましたように、やはり認定、きちっとした形でないと要求は突き付けにくいということですから、この認定のやり方、今後変えるべきではないでしょうか、官房長官。
○国務大臣(細田博之君) これは、確かにおっしゃることは分かるわけでございます。
 しかし、こういう言わば犯罪の被害者、言わば誘拐ではございますから、その犯罪の被害者として、だれか特定の人が特定の場所でこういう経路でだれが手伝って連れていったと、拉致をしたということをやはり警察当局がしっかりとした証拠固めをして、そして認定をするという仕組みでやっております。
 したがって、その限りではどうしてもこの田中実さんを含めて十六名の方、特に、五人の方はお帰りになりましたので、残り十一人の方の問題になるわけでございますが、当然ながら、そのほかに交渉においては、例えばいろんな状況証拠が出てきつつあった加瀬テル子さんとか藤田進さんを始め、そういう話もしておりますし、それからいわゆる特定失踪者の千番台のリストの方々等を合わせますと、救う会の認定も含めますと五十数名の方は極めて容疑が濃いわけでございますけれども、そのうち、そのほかにも百数十名と言われる方が突然の、理由もない失踪をされているということから大変疑惑は深いわけでございますけれども、我々としては、北朝鮮にはっきりとしたものからまず交渉をしております。
 はっきりとした証拠のあるものでさえ、その生存を隠し、しかもきちっと、ああ、この方でしたらおられましたと言ってきませんので、これはもう向こうの政府の、極めてこれ遺憾でございますが、こういったことを何とか直させなきゃいけないということは非常に今我々も苦労しておるところでございます。
○森ゆうこ君 申し訳ありませんが、そのような政府の認識、根本的に間違っていると私は思います。
 今、犯罪というふうにおっしゃいました。刑事事件として扱っていらっしゃるんですね、一個一個、それぞれ。それで警察が捜査をして、そして証拠がある程度固まったときに政府として認定をしていく、そしてそれを基に外務省が交渉をしていくと、こういうシステムになっているわけですけど、そもそもそれは間違っているんですよ。そうじゃないんです。
 拉致問題というのは、個別の刑事事件じゃない、北朝鮮の国家による現在進行形のテロなんです。これが拉致問題なんです。だから、そんな姿勢では絶対解決できません。だから、北朝鮮側は何も、自分たちの都合のいいことを言ってくるだけで誠実に対応しようとしないんです。当然です。日本政府がそのような認識で今までのような態度だったら、何にも答えてこないのは当たり前じゃないですか。
 これから救出に向けていつまでに何をするのか、具体的にお答えいただきたいと思います。
○国務大臣(細田博之君) できるだけの努力を今後とも継続したいと思います。
 それには交渉のテーブルに着き直すことが大事でございますし、それから別途進められております六か国協議も再開に向かって今協議が進められておりますが、こういったところで直接顔を合わせて、それをきっちりと申し入れるということが今後可能になる可能性が今大きくなっていると思っております。
○森ゆうこ君 政府、我が国政府が、我が国の国民が拉致されて救出を待っているときに、我が国の政府が自分でできる、主体的にできるということを、いつまでに、どのように、何をするのか、具体的にお答えいただきたいという質問なんですが。
○国務大臣(細田博之君) 先方も政府で、彼らのこの領土の中においてはあらゆる人に対する権限を持っておりますので、これは我々が説得をして、そして彼らがついに、実は生きておりました、全員返しますと言うまで粘り強く交渉をすることが我々の今の方針でございます。
○森ゆうこ君 ですから、粘り強く、しかも半年間もこのような状況が放置されたまま何もしないということなんでしょうか。
 万景峰号について伺いたいんですが、昨年の十二月に泉田新潟県知事が万景峰号に対して二つ入港条件を課しました。一つは、いわゆる改正油濁法の前倒しとなる保険の厳格な適用でございます。もう一つは、入港の際に発していた大音量の音楽を流すのを禁止、やめるという二つの条件でした。この保険の問題がクリアできなくなった。そして、そのうちに本格的に改正油濁法が施行されたということで、冬の間、万景峰号は新潟に参りませんでした。
 しかし、このたび保険に入り直して、五月から入港が再開されました。もう今までの遅れを取り戻すかのようにピストン輸送というかシャトル便という形で、私も手元に入港の実績、それから今後の入港の予定を持っておりますけれども、五月の十八日から再開されたわけですから、今のところ分かっているだけで何回入るんでしょうか、万景峰号は。調べておいていただくように私言ったんですけれども。
 万景峰号は、十月の十八日までもう既に予定が決まっておりまして、二、四、六、八と十四回、今のところ入港の、もう済んでいるか、若しくは入港の予定でございます。
 万景峰号については、改めて私が説明するまでもなく、かつてこの船によって様々な工作活動が行われていた、北に対して不正な送金が行われていた、不正な人物の行き来が行われていた。これらは明らかになっているところでございますけれども、この万景峰号がまたこれだけ入ってくる。こんなこと許していていいんでしょうか、官房長官。
○国務大臣(細田博之君) 改正油濁法の基準を満たしておりますのと、もちろん密輸とか偽札の搬入とか麻薬とか、そういうことは全部厳密に調べておりますけれども、そういうことがなく適法に入っているものは、目下の状況ではやむを得ないと考えておるわけでございます。
○森ゆうこ君 そうじゃなくて、この拉致問題の解決に向けて北朝鮮側が何ら迅速に、しかも誠意ある対応を示していないわけですから、私はこの特定船舶、この万景峰号、止める今がタイミングだと思いますが、なぜやらないんですか。
○国務大臣(細田博之君) 先ほども申し上げておりますが、今は忍耐強く交渉するべきであると。そういった中で、いろいろな国際情勢の変化等ございますので、彼らは核開発を完了したなどと言って国際社会から相当な反撃を食らっておるとか、六者会合に復帰をする動きがあるとか、時間というものがある程度その国の考え方を柔軟にしたりする要素もございますので、辛抱強く対応しておるというふうに御理解いただきたいと思います。
○森ゆうこ君 北朝鮮に限ってそんなことはないと思いますよ。時間稼ぎをして好都合だと思っているわけですよ。この間に不正に得た資金によってますます、今本当に核ミサイル持っているのか分かりません、宣言していますが分かりません。もう準備が着々と進んでいる。日本にとってはますます脅威になるという状況だと思うんですけれども。
 最近の報道によれば、北朝鮮が今月にも核実験を行うということが言われておりますけれども、仮に実験が強行された場合における政府の対応、何らかのシミュレーション行っていらっしゃいますか。
○国務大臣(細田博之君) 我が国は当然ながら北朝鮮の核開発の動向を注視しております。
 明らかに、いわゆる黒鉛炉でウラン原料を燃焼させて、そこからプルトニウムを抽出しているという行為を長年行ってきておりますから、当然ながらそういったタイプの原料は持っておると。それがどこまで、言わば弾頭あるいは爆弾として製造を終了しているか、これはまだはっきりはしないわけです。
 それから、日本の安全でいいますと、これは当然、制空権がございませんので先方には、日米安保条約の下では当然ながらミサイルで撃とうとすると。そうすると、ミサイルに重いものを載せて撃って、正確に例えば日本に撃ってくるという状況にあるかどうか、技術的なそこまでの展開があるかどうかという点については、専門家に言わせますと、そこまでは来ていないだろうという説は多いんですが、そういった中での核実験というものをやった場合にどういう国際的効果があるか。
 我々は、これは、彼らが核実験をやるかどうかということについては様々な情報を収集しておりますが、最終的には判断できる段階ではございませんが、しかしながら、そういう爆発をさせるということぐらいでしたら、ある程度そういう能力は持っておると見ております。
 したがいまして、我が国としては、そういったことのシミュレーションというのではなくて、あくまでもミサイル防衛ですとか、日米安保条約等によるこういったものに対する共同防衛ということについては様々な話合いは行っておるわけでございます。
○森ゆうこ君 核実験を強行した場合には、我が国としては諸外国を巻き込んだ形で国連安保理における経済制裁に向けた外交攻勢を強めることが求められると思いますが、この弾道ミサイルと組み合わされば我が国に対する多大な脅威となることが容易に想像される中で何もできないでいる。国民一億二千万人を事実上人質に置くような状況を放置しておくことは、私は国家としては芯のある対応とは言えないと思いますけれども、いかがでしょうか。
○国務大臣(細田博之君) 当然ながら、そのような動きが、例えばミサイルを発射するという動きがあれば、日米共同の協力によりまして当然対応すると。
 それは二段階に分かれます。
 ミサイルを発射しようという準備が明らかであれば、当然これに対応する必要がありますし、もう発射されたという段階では、弾道ミサイルによりまして抑止をしなきゃいけない、要撃をしなければならない。これは日米で現在研究が進んでおりますし、当然、これに対して防止しなければならない。これについては、先ほど申しましたように、若干の時間的余裕がありますが、相当差し迫っておるわけでございますから、日米で協力体制を更に深めておるところでございます。
○森ゆうこ君 先ほど万景峰号のお話をいたしました。
 五月二十三日の万景峰号の入港に際して、さきに泉田知事が課した条件のもう一つの方、大音量による将軍様をたたえる歌ですか、それのテープで流すことをやめるようにという条件を課したわけですけれども、二十三日の入港の際にはそれを破りました。泉田知事からすぐ電話が来ました。毅然とした対応をすぐやりたいんだけれども、どうだろうか。
 いろいろ言われておりますね、北朝鮮は。こちらが強硬な姿勢に出れば暴発する、何かしてくる。私は、どうぞ安心して是非そのように対応をお願いしたい。お願いしましたところ、北朝鮮側は暴発するどころか、すぐに文書を持って謝罪に参りました。今後このようなことがないように努めますと、遺憾の意を表しながら謝りに参りました。そしてその後、二回船が入っているわけですけれども、三回ですか、入っているわけですけれども、本当に静かに入港している。
 北朝鮮というのはそういう国なんですよ。きちんと厳しく素早く対応しなければ何も反応しないんです。日本政府が何もしないから、毅然とした対応を何もしないから、厳しい対応を何もしないから、向こうも誠実な対応をしてこないんですよ。何もされないんでしょうか。
 横田早紀江さん、今そこらにいらっしゃいますが、本当はこんなことでは救えないと声を出したい気持ちで一杯だと思います。私は、代わって先日の金曜日の拉致特での横田さんの意見陳述、読みたいと思います。
 おぼれた人がいれば、私たちはすぐにでも手を差し伸べるのではないんでしょうか。ほかのいろんな用事をまずおいて、大事な用事があってもまずそれをおいて飛び込んで助けるのが人の心ではないんでしょうか。どうしてこんなにたくさんの立派な日本のお父様、お母様がこの国にいらっしゃるのに、そして外交官や政治家、首相、いろんな方が、その役職の中にあって、一つ一つの大事なときにチャンスをしっかりととらえて外交をしてくださり、また、日朝実務者協議のときでもやはりそうですし、首脳会談のときでも、やはり小泉さんがお一人の人として、父親として言うべきことを言い、しっかりと子供たちを返しなさいと、許せないとはっきりと言葉に出して金正日に迫って怒ってほしかったと私は思っています。
 そして、骨が返ってきたときも、このようなことがうそであったら、自分の子供が隣のおじさんに連れていかれてそのような形で現されたらそのお父さんはどうするでしょうか。そのうちの窓をけ破り、ドアをけ破ってでもそのお父さんに食って掛かって、首筋をつかまえて物すごい勢いで怒るのが本当ではないんでしょうか。
 私たちは、本当にもう心身疲れ果てておりますけれども、子供たちが助けを求めている間はどんなことがあっても倒れることができません。そして、小泉さんにしっかりと怒っていただきたい、経済制裁発動をいたしますとはっきりと言っていただきたい、日本の国民総意での怒りを私が負って怒っているんですと北朝鮮に態度を示していただきたいと私は思っているんです。
 私は、この横田さんの言葉にすべてがこもっていると思いますし、前のときにも申し上げましたが、これは母親が子を思うその情という問題だけじゃないんです。
 済みません、私がこんな質問を大先輩の官房長官にするのは失礼なんですけれども、国家の存在理由は、一体、その一番大切なところは何におありだとお思いですか。
○国務大臣(細田博之君) それは非常に難しい御質問でございます。
 過去の長い人類の歴史を見れば、そのような国民に対する大きな侵害があったときには、あらゆる手段を通じて救い出すということも行ってきた事例は幾らでもございます。しかし、我々は今の、現代の二十一世紀における国家として外交を第一に考えて、そしてあらゆる外交的手段を通じながら問題を解決していくという基本方針を取っております。これは、我が国自身の制約というものも考え、そしてかつ外交の力を今後とも発揮をしていって、しかも関係国とも協力しながら対応していくべき問題であると思っております。
 そして、被害者の御家族の皆様方も、本当に世界的規模で、国連に行かれたり、アメリカその他の、韓国その他の国々に出向かれて、そしてこれほどひどい人権侵害があるんですということで世界共通の認識を高めていただいたこと、本当に心から敬意を表する次第でございます。
 そして、今の段階で生存者を返すと、返されるということができないことについては、我々も大変残念でございますが、今後とも引き続き努力をしてまいりたいと思っております。
○森ゆうこ君 済みませんが、具体的な日本政府が何をどのようにするかということが全くお答えになっていられない中で、できることを一生懸命やっていく、信じてくれと言われても困るんですね。
 先ほども申し上げました経済制裁イコールデッドラインということじゃなくて、その反応に応じていろいろ対応していくと。何かやればいいじゃないですか。何もしていないでしょう。万景峰号止めてごらんなさいよ、一回。絶対向こうからきちんとしたアクションが来ますよ、リアクションが。なぜ止めないんですか。何を恐れているんですか。向こうが困るんですよ、向こうは恐れているんですよ、止められるのを。だから、知事からああいうのが来れば、もうすぐにごめんなさいと言ってくるんです。日本政府ができるのはそういうことだけなんですよ、主体的にできるのは。なぜそれをなさらないんですか。
 横田さんたちが梅雨のこの時期に三日間、来週座込みをしないと、日本政府は具体的に何もできないんですか。
○国務大臣(細田博之君) おっしゃいますような手段というのは、当然ながらもう制裁としてやれということですから、そのことは理解しております。しかし、制裁でなくして何かをやるということは不可能でございますから、それは全面的に我が国としてかの国に対して制裁をすると。これで断固究明をしつつ制裁をするという意思表示でございますから、これは全面的なことでなければ、その一部を、万景峰号だけ止めるといっても理屈がありませんから、すべてこれは制裁措置として実行するというところまで決断をしなければならないと思います。その決断をするのに時間をまだ見ておるということだと理解していただきたいと思います。
○森ゆうこ君 済みません、今おっしゃったことはちょっと理解できません。
 要するに、一かゼロかということですか。何もやれないということですか。全面的に何か戦争でもしない限り何もやらないという、そういう意味ですか。
○国務大臣(細田博之君) いや、そういうことではございませんで、例えば万景峰号というのは自由航海の原則で、油濁法とかそういうものは満たしながら、満たせば自由であるという国際的な原則に基づいて出入りをしている。貿易についても、いろんな農薬だとかいろんなものがあるかもしれません、規制があるかもしれませんが、貿易とか、しかしそれをクリアする限りは入れることは自由、貿易の自由の原則もある。人間の行き来についてもそういう問題があると。
 それらを強制的に法律でそれを例外をつくるということは、それの根拠は当然ながら制裁措置という以外には考えられないわけでございますから、国際法上の特別措置をとるということは制裁である。その制裁について日本政府が全面的に意思決定をしたときにそれは可能になるわけです。それを可能にしていただいたのが衆参両院での法改正であることはよく承知しております。
 したがって、全面的に、やれば全面的になりますから、全面的に制裁をしろと、両国間においてこれでもう問題が前進しない限りは戻ってくるなという叱咤御激励はよく我々も始終承っておりますが、今の段階ではそういう全面的制裁、経済断交に近い措置、あるいはあらゆる断交に近い措置になるわけでございましょうけれども、そういったことに今踏み切るのではなく、外交的努力を積み重ねておると、こういうことを申しておるわけでございます。
○森ゆうこ君 竹中大臣、済みません。お願いしていたのにこの間と同じようなケースになってしまって大変申し訳ないんですけれども。
 じゃ、無期限でこのままの状況を、風任せ、六か国協議開かれるか、開かれるのか開かれないのか分からない六か国協議任せ、よその国の交渉任せ、日本政府は何もしないということですか。だから、できるものをどうやったら解決できるのか、何かやればいいじゃないですか。
○国務大臣(細田博之君) 小出しにすることは論理が立たないと思います。すべて、全面的に発動するかどうかと。確かに、我が国としても、もう国会で何度も議決がされ、法律案が通過しておりますように、手段はもう持っているわけでございます。我々としても忍耐には限りがあると思っておりますが、当然ながら、それは国会との連携等でいつ決断をするかということになる可能性はあると承知しております。
○森ゆうこ君 じゃ、期限を切ってください。もう既に六か月たちました、官房長官が経済制裁の予告をしてからですよ。迅速かつ誠意ある対応を示さない場合厳しい対応を取らざるを得ないと制裁予告をしてからもう半年がたちます、二十四日で。あと一か月待ってやると。今までは期限を切るのはよろしくないというお話でした。しかし、何も進展しません。何も変わりません。何の交渉もできない。少なくとも期限を切っていただきたいと思いますが、いかがでしょうか。
○国務大臣(細田博之君) これは森議員の厳しい御提言でございます。政府としてまだ更に検討をいたしたいと思います。
○森ゆうこ君 齋木審議官に伺いたいんですが、私たち拉致問題にずっとかかわってきて、いろんな動きを見てきた一人、齋木さんももう専門家でいらっしゃいますし、本当に一生懸命やっていただいた。そういう北朝鮮の対応の仕方をよく心得ていらっしゃる人は皆一様に、北朝鮮という国はこういうやり方では駄目なんだと、厳しく対応しなければいけないんだということで意見が一致するわけですよね。齋木さんは多分私たちと同じ感覚をお持ちではないかと思います。政府に対して、官房長官に対して進言されてはいかがですか。ほかには解決策ないと思いますが、進展する。
○政府参考人(齋木昭隆君) お言葉ではございますけれども、私も政府の一員でございます。外務省の人間として外務省がやるべきことを内部で検討しておる状況でございます。
 政府全体として、一体としての対応というのは当然取っていくことが必要であると思います。したがって、北朝鮮相手の交渉事、大変に難しいものがございますけれども、先ほど来官房長官答弁申し上げているように、どういうタイミングで何をすることが我々として達成すべき、結果を達成するのに最も効果的なのかということ、これは当然のことながら、政府の中でいろいろな省庁それぞれ管轄が違いますけれども、きっちりと今内部的に検討しておるというのが事実としてございます。
 我々としては、制裁をやらないと言ったことは一言も言っておるわけじゃございません。制裁はオプションの一つとして常に頭に入れながら、どういうタイミングでこれをどういう形で発動するのがいいのかということを我々として今見計らっているという、そういう状況でございます。
○森ゆうこ君 いや、もう我慢にも限度があります。その検討もいつまでするんですか。検討中、検討中とずっと聞いてまいりました。
 もう既にタイミングを遅いというふうに思っておりますが、でも、今からでも遅くはありません。少なくとも二十四日からの三日間の座込み、そんなことはしていただかなくても政府がきちっとした対応を取るということを重ねてお願い申し上げたい、要望したいと思います。
 時間になりましたので、質問を終わりたいと思います。

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