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2023年9月18日

「交渉」の限界【調査会NEWS3754】(R5.9.18)

 月刊「文藝春秋」10月号に掲載されている飯島勲内閣官房参与の「横田めぐみさん奪還交渉記録」(以下「記録」と略)を読みました。

 これは今から10年前の平成25年(2013)5月、飯島氏が北朝鮮を訪問して北朝鮮の幹部(金英南・金永日・宋日昊)と交渉した内容を明らかにしたもので、最後に「岸田総理が『直轄』と宣言したことは大きなチャンスです。今こそ日本社会全体で日朝交渉の在り方を変えていかなくてはならない時なのです。この『会談記録』が一つのモノサシとして活用されることを願ってやみません」と締めくくられています。

 「記録」には色々な中身が込められており、もちろん書かれていないことも山ほどあるのでしょう。ともかくまともな交渉ができていないのが現状ですからこれが実のある交渉を促進することになってくれればと思います。こういう交渉ができる人はそれほど多くはいません。飯島氏はその意味で貴重な人材です。少なくとも口だけで「全拉致被害者の一括帰国」と言いながら何もしないのに比べればはるかにましでしょう。

 しかしその一方で、私は「記録」を読んで飯島氏とはほぼ正反対の結論に達しました。交渉が成功したとしても帰ってくる拉致被害者はごくわずかしかいないということです。

 タイトルの「奪還交渉」というのは編集部が付けたものでしょうが、ここに出てくる北朝鮮幹部とのやりとりはおよそ「奪還」にはほど遠いものです。東京の朝鮮総聯本部ビルがなくならないように努力したこととか、許宗萬・朝鮮総聯議長との親密な関係を強調したりとか、良くも悪くも北朝鮮との信頼関係を作って事態を前進させようとしたことが分かります。

 交渉においてそのような物言いをすること自体は全て否定することはできませんが、結局飯島氏の頭の中にあるのは今の北朝鮮との国交正常化です。北朝鮮が長年行い多数の被害者が出続けた拉致被害に対する怒りは見られません。いわんや北朝鮮における政治犯収容所や公開処刑、あるいは在日朝鮮人帰国者やその日本人家族に対する人権侵害については怒りどころか全く思考の外にあるとしか言えません。

 「記録」を読んで分かるのは、結局拉致された同胞を救出するために、「交渉」でできることはごくわずかしかないということです。軍事的なものも含めて圧力や北朝鮮内部への揺さぶり、あるいは恫喝をして事態を変えていかなければ結局大多数の人は死んでいくでしょう。もちろんそれは容易なことではないのですが、結局被害者を救出するためには力が必要不可欠です。

 なお、文中宋日昊・日朝国交担当大使が「日本からは(中略)生存者の全員帰国についても、特定失踪者は含まれないということを言ってきたこともある」と語ったことが出てきます(104ページ)。まあそうだろうとは思っていたのですが、拉致認定が増えないことの理由も結局はそういうことなのでしょう。

 いずれにしてもこの「記録」は飯島氏の言葉を借りれば、私たちが何をしなければならないか考える「モノサシ」であることは間違いありません。

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◎書籍版2200円(本体+税)

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■拉致問題関連書籍一覧(特定失踪者家族会作成)

http://araki.way-nifty.com/araki/2022/09/post-cf6ae2.html

<調査会・特定失踪者家族会役員等の参加するイベント(拉致問題に関係するもの)・メディア出演・寄稿・特定失踪者問題に関する報道(突発事案などで、変更される可能性もあります)等>  ※事前申込み・参加費等についてはお問い合わせ先にご連絡下さい。

※記載されている参加者は調査会・特定失踪者家族会役員のみです。

★9月23日(土)17:00 「『ふるさとの風』『しおかぜ』共同公開収録」(内閣官房拉致問題対策本部事務局・調査会主催)

・島根県芸術文化センター「グラントワ」(益田市有明町5-15 Tel 0856-31-1860)

JR益田駅からバス5分「グラントワ前」下車

・調査会幹事長村尾が参加

★9月24日(日)13:30 「『めぐみへの誓い』上映会」(北朝鮮による拉致被害者救出ネットワーク島根主催)

・仁万まちづくりセンター(島根県大田市仁摩町仁万562-3 Tel 0854-88-9520)

JR仁万駅徒歩8分

・調査会幹事長村尾・幹事石原が参加

・問合せ:090-7593-7435(林さん)

★9月30日(土)18:30 「『よそのくに』は北朝鮮か、日本か 予備役ブルーリボンの会シンポジウム・朗読劇」(予備役ブルーリボンの会主催)

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・予備役ブルーリボンの会のYouTubeチャンネルでライブを行います。

https://www.youtube.com/@user-ts2wo9hd5n

・問合せ:info@yobieki-br.jp

★10月14日(土)14:00 「『ふるさとの風』『しおかぜ』共同公開収録」(内閣官房拉致問題対策本部事務局・調査会主催)

・サンエールかごしま(鹿児島市荒田1-4-1 Tel 099-813-0850)

 鹿児島中央駅からバス約10分「サンエール前」

・幹事長村尾・幹事森山が参加

★10月21日(土)11:00 「『お帰りと言うために』拉致被害者・特定失踪者家族の集い」(調査会主催)

・都民広場(東京都庁前・新宿駅徒歩10分・都営地下鉄大江戸線都庁前下車直ぐ)

・調査会役員・特定失踪者家族会役員が参加

・問合せ 調査会

★11月3日(金・祝日)13:00 「拉致事件の実態と私たちに何ができるのか」(拉致問題を考える市民の会岡山)

・岡山シティホテル桑田町(岡山市北区桑田町3-30 Tel 086-221-0001)

 岡山駅徒歩7分

・代表荒木が参加

・参加申込・問合せ triops@js7.so-net.ne.jp Tel 090-8495-3391(林さん)

★11月4日(土)13:30 「拉致問題講演会」(群馬県・桐生市・県拉致議連・救う会群馬主催)

・桐生市

・代表荒木が参加

・問合せ 群馬県庁人権同和係(027-897-2687)

★令和6年1月14日(土)14:00 「『ふるさとの風』『しおかぜ』共同公開収録」(内閣官房拉致問題対策本部事務局・調査会主催)

・高知市文化プラザかるぽーと(高知市九反田2-1 Tel 088-883-5011)

 電車・バスはりまや橋下車徒歩5分

・幹事長村尾が参加

★1月21日 (日)13:30「国民のつどいin香川」

・JRクレメント高松(高松市浜ノ町1-1 Tel 087-811-1111)

 高松駅下車すぐ

・特定失踪者家族会吉見副会長が参加

★代表荒木のYouTubeチャンネル

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 荒木担当 『救い、守り、創る』

 村尾担当 『オレがやらなきゃ誰がやる!』

★予備役ブルーリボンの会の動画配信「レブラ君とあやしい仲間たち」

・代表荒木がキャスターをつとめています。

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 北朝鮮船・遺体着岸漂流一覧

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